企業の45.4%で正社員不足、過去最高を更新 帝国データバンク調査

帝国データバンクは、人手不足に対する企業の見解について調査を実施し、その結果を公表した。正社員は「情報サービス」、非正社員は「飲食店」での人手不足が深刻となっていた。

有効求人倍率が43年ぶりの高水準となるなど労働市場がひっ迫している。アベノミクスの成長戦略を進める上で人手不足の深刻化が成長を抑制する懸念も高まった。また、人口減少にともなう生産年齢人口の減少や、働き方改革の進捗は重要性を増している。

人手不足は求職者に好材料となる一方、企業にとっては人手不足の長期化で人件費上昇などのコストアップとなり、今後の景気回復の足かせにもなりかねない。

今回、帝国バンクが実施した調査は2017年7月に行われ、調査対象は全国2万3,767社で、有効回答企業数は1万93社(回答率42.5%)となった。

この調査によると、企業の45.4%で正社員が不足していると回答、6カ月前(2017年1月)から1.5ポイント増、1年前(2016年7月)から7.5ポイント増加した。

正社員の人手不足は、2006年5月の調査開始以降で過去最高を更新した。業種別では「情報サービス」が69.7%と7割近くに達し、トップとなった。以下、「家電・情報機器小売」や「放送」「運輸・倉庫」が6割以上となり、「建設」など10業種が5割以上となった。

また、規模別では、「大企業」(51.8%)では半数を超える企業が「不足」と考えている。また、「中小企業」は43.7%、中小企業のうち「小規模企業」は38.8%が不足していた。規模の大きい企業ほど不足感が高く、一段とその傾向が強まっている。大企業における人手不足が中小企業の人材確保に影響を与えていると推測される。

非正社員では企業の29.4%が不足していると感じている。6カ月前からは0.1ポイント減少したが、1年前からは4.5ポイント増加した。業種別では「飲食店」「電気・ガス・水道・熱供給」「各種商品小売」などで高い。上位10業種中7業種が小売や個人向けサービスとなり、消費者と直接的に接する機会の多い業種で人手不足の割合が高い。

規模別では、規模の大きい企業ほど不足感が強くなっており、正社員と同様、「大企業」の不足感は一層の高まりを見せている。

従業員が不足している割合で正社員と非正社員の両方で上位に挙がったのは「家電・情報機器小売」と「メンテナンス・警備・検査」の2業種にとどまり、雇用形態によって不足感の強い業種が大きく異なる結果となった。