帝人ら3社、高い透明性と難燃性を両立する水性塗料を開発

大日技研工業は、帝人、大丸興業と共同で、リン系難燃剤「FCX-210」を使用した水性透明難燃塗料「ランデックスコート 難燃クリア」を開発した。

「FCX-210」とは、帝人独自の分子設計で開発したリン系難燃剤。高い耐熱性や少量でも高い難燃性を付与できることなどにより、OA機器や家電製品、自動車などに幅広く利用されている。

今回開発したランデックスコート 難燃クリアは、リン系難燃剤「FCX-210」や特殊アクリル樹脂などの組成を最適化したことで、ノンハロゲンアクリル系水性塗料として世界で初めて透明性と難燃性を両立した。

可燃物の表面に半透明な塗膜を形成することで、住居空間などにおいて色合いや風合いを維持することができ、高い耐候性や防カビ性、疎水性も有している。

一般的に難燃塗料は使用できる材料が限られている。ランデックスコート 難燃クリアは、木材や紙、繊維、ゴム、プラスチックなど幅広い材料に塗布することで高い難燃効果を付与することができ、塗料としての「不燃材料認定」「難燃性試験 UL94 VTM-0」も取得予定。また、FCX-210を使用することで、環境に悪影響を与えるハロゲンを含んでいない点も特徴の一つ。

大日技研工業は、ランデックスコート 難燃クリアを新たなラインナップとして、2017年9月1日から大丸興業を通じて販売を開始する予定。2020年度には10億円の売り上げを目指す。帝人は、今後は高い透明性や難燃性が求められる建築用途やインテリア用途などにも市場開拓を進め、2020年度には難燃剤事業として30億円の売り上げを目指す。

2010年に「公共建築物等木材利用促進法」が施行されて以降、大規模木造建築物に注目が集まっているが、防火・耐火面での課題からさほど普及していない。火災時の逃げ遅れを防ぐため、建材に加えて室内で使用される木造製品や紙製品、布などにも簡単に高い難燃性を付与できることが求められていた。