データセンターサービス市場、今後も拡大――IDC調査

IDC Japanは、2017年国内データセンターサービスユーザー調査結果を発表した。この調査は国内企業/団体の外部データセンター(DC)サービス利用者を対象としたアンケート調査で、利用中のサービスや将来の予定などに関する回答をまとめ、分析している。

今回の調査によると、外部データセンターサービスの利用は大規模企業が中心で、中小企業への普及は進んでいないことが分かった。ただし、大規模企業では既に外部データセンターサービスを全く利用していないというところは少ないものの、社内におけるシェア拡大の余地はまだ残っており、案件の規模も大きくなる傾向がある。この動きが市場にプラスの影響を与え、その成長を加速させると見られる。

将来的には、中小企業も含めて外部データセンターサービスの利用は拡大傾向にある。その一方で、外部データセンターで稼働させていたアプリケーションをオンプレミスに移行するというケースも見られるという。大規模企業を中心に、IT環境の最適化を目指して外部データセンターとオンプレミスの適切な組み合わせを模索する動きがあるとIDCでは考えている。

また、クラウドに着目して、パブリッククラウド、プライベートクラウド(オンプレミス型)、プライベートクラウド(ホステッド型)の構成比を見ると、従業員規模が大きくなるにつれてプライベートクラウド(オンプレミス型)の比率が上昇しており、結果として各サービスの間の差が小さくなり、構成比が均等化する傾向があった。大規模企業では、より柔軟かつ独自のインフラ構築/運用を求め、オンプレミス型を好む傾向があると見られる。

データセンターサービス市場は、今後もしばらくは拡大が続くとIDCでは予測する。しかし、特に大規模企業を中心に、外部データセンターとオンプレミスとの組み合わせ方、クラウドサービスの使い分け、データセンターの設置場所なども含め、社内IT環境の最適化に向けた模索も続けられている。その傾向をデータセンターサービス事業者側でも無視できなくなりつつある。

IDC Japan ITサービスのシニアマーケットアナリストの吉井誠一郎氏は「データセンターサービス事業者には、コンサルティングなどによって企業ごとに異なるIT環境の最適化をサポートしていくことが求められるであろう」と分析する。