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住友電気工業、ケーブルテレビ向けにコンパクトな多チャンネル放送設備を販売
住友電気工業は、メディアリンクスと共同で、多チャンネル放送素材受信装置とトランスモジュレータを一体構造とした装置「IP-QAMエキサイタ」を開発し、ケーブルテレビ局向けに販売を開始した。
ケーブルテレビ局では、2018年12月から開始される高度BS再放送(4K/8K)やケーブルテレビの放送サービスのオールIP化に対応するため、放送設備であるヘッドエンドの設置スペースと電源容量の確保が課題となっている。
ケーブルテレビの多チャンネル放送サービスは、プラットフォーム事業者からHOG形式で配信された放送素材信号をケーブルテレビ局内で受信し、放送用信号であるQAM形式に変換して送出する。そのため、これまでは受信装置と複数のトランスモジュレータが必要だった。
HOGとは、光ファイバーを利用して地上光回線により放送サービスを配信する形態のこと。また、QAMとはケーブルテレビで用いられるデジタル変調方式を指す。
今回発表したIP-QAMエキサイタは、放送素材受信装置「MD8000シリーズ」にトランスモジュレータ機能を持つIP-QAMユニットを実装し、一体構造とした。これにより、省スペース化と省電力化を図った。
最大200チャンネルの放送信号を送出する場合、これまでは受信装置とトランスモジュレータの設置に約3本のラックが必要だった。IP-QAMエキサイタは約2分の1本分のスペースでの設置が可能。
消費電力を従来比で75%削減できる他、新規導入によって既存設備の更新コストと比べてシステム構築費用の低減が見込めるという。
住友電気工業では、今後開始される4K多チャンネル放送の運用仕様「高度ケーブル自主放送」への対応も検討している。