IP戦略を補完する文書管理に

近年、産業界において、イノベーション手法が多様化している。他社や大学などの研究成果、技術、アイデアを取り込みながら自社の技術開発を促進するオープンイノベーションが普及しつつある。

自社技術の権利化、秘匿化、公知化を戦略的に選択することが求められている。

事業競争が進展する状況下、企業の技術力は拮抗していて、外部へ明らかにしていない自社技術が他社に開発されて特許出願されたり、自社が特許出願する前に他社に特許出願されたりするリスクも高まっている。ゆえに、他社に取得された特許権の権利行使等から自社の事業全体を守るために、先使用権の証拠確保や営業秘密としての技術の管理等、知的財産(IP)管理の遂行は重要だという。特許庁は、先使用権制度についてウェブで解説し、ガイドライン(事例集)を示している。

同制度は、自社の発明を特許出願せずとも、その技術・ノウハウが事業に組み込まれている、あるいは事業の準備が進められていたことが証明できれば、他社が同様の特許を出願したとしても、その技術を無償で継続使用できる権利。であるため、IPを守る手段として注目されているが、この権利を立証するには、上記ガイドラインに沿った文書管理と、第三者機関が発行するタイムスタンプの利用による技術文書の証拠性の確保が欠かせないという。富士ゼロックスは、同社の文書管理システムとアマノビジネスソリューションズ提供のタイムスタンプサービスとを組み合わせ、立証要件を満たした技術文書管理を実現する「先使用権対応ソリューション」の提供を始めた。

ArcSuite Engineering / Apeos PEMaster Evidence Manager」の原本性保証オプションや「DocuShare」のタイムスタンプオプション機能と、「アマノタイムスタンプサービス3161」のセットにより、技術文書へのタイムスタンプの付与と、改ざんされていないことの検証作業を行える。同ソリューションは、特許庁の外郭機関である工業所有権情報・研修館(INPIT)の「タイムスタンプ保管サービス」にも対応していて、タイムスタンプを付与した文書を、研究開発、技術確立、事業化準備などの各プロセスで発生する資料ごとに段階的に管理しつつ、資料の関連性が分かる形で紐付け管理する運用ノウハウを提供する。

特許庁ガイドラインによる「資料の客観性の担保」、「一連の流れが理解できる資料の整備」、「資料の段階的な管理」を実現し、先使用権の立証を支援するという。