情報通信
情報システム子会社の未来

日本企業の情報システム部門は、かつてIT(情報技術)ベンダーが舌を巻くほどに技術力が高かった。業界ITシステムの知見とノウハウを蓄積していて、ときにはOS(基幹ソフトウェア)の設計開発に参与するほどであった。メインフレームの全盛期までは――。
そんな情報システム部門は、米国のネット通販大手がいま世界のIT業界を席巻し、企業向けIT開発をリードしている姿と重ならなくもない。が多くの場合、およそ四半世紀前に分社化の波を受けてIS(情報システム)子会社となった。そしてIS子会社いま、業務アプリケーションの開発や親会社/グループ企業内システムの構築、運用を中核事業にしていて、そこで開発したサービスやパッケージソフトの外販も行っている。
国内IS子会社が現在担っている業務や抱えている課題、将来の方向性を調査するため、IS子会社を有する企業の経営者とマネージャー156名にアンケートを実施した、IDC Japanはきょうその結果を公表。既存システムの開発・運用や、新たな業務システムの開発など、「今ある業務」に関するシステム関連業務を行っているとした回答者が全体の4分の3を占め、デジタルトランスフォーメーション(DX)まで担うIS子会社は13.5%にとどまった。これにより、企業で本格化するDXへの取り組みを支える組織自体が、変革の岐路に立っていることがわかったという。
理由の1位は「人材不足」。人件費の高さや世代間のスキル継承など、2位の「本社に対する提案力不足」と併せて、IS子会社にはDXを担う人材が量、質とも不足していることがわかる。一方で、DXの実行組織としての役割が期待される。IS子会社では将来、スキル転換や役割変更を進めていくとの回答が4割以上だったという。
IDC Japanの寄藤 幸治ディレクターは、今回の調査レポートにて、ITベンダーとIS子会社の新たなパートナーシップも提言している。