パナソニックは、危険ドラッグのような低分子化合物の機能を維持したまま高分子化する技術と、当該技術により作製した生成物を用いて免疫反応させることでモノクローナル抗体を開発した。
モノクローナル抗体とは、体内に入った異物(抗原:測定対象物)を排除するために作られるタンパク質の一種のこと。今回開発した、危険ドラッグに対するモノクローナル抗体を利用することで、現場で簡易に検出できるデバイスを提供でき、その場で不審物を容易に判定できることにつながるという。
まず同社は、主な危険ドラッグ種である「ナフチル系合成カンナビノイド構造」を有する免疫原を作製した。一般に危険ドラッグは、低分子なものがほとんどで、そのままでは体内で免疫応答が起こらずに抗体を得ることができない。
今回、危険ドラッグの構造を維持したまま「キャリアタンパク質」に結合させることで危険ドラッグを高分子化した免疫原の合成に成功したという。キャリアたんぱく質とは、高分子化の材料として利用するたんぱく質の総称名。
危険ドラッグをキャリアタンパク質に結合して高分子化することで免疫原を作製するが、その場合、危険ドラッグとキャリアタンパク質との距離が機能維持には重要。今回、長さの異なる結合距離(リンカー長)を持つ危険ドラッグ成分の誘導体を新たに合成した。
今回の開発によって危険ドラッグの主な成分を特異的に検出が可能になり、現場で簡単に危険ドラッグの成分を検出できるデバイス化に貢献できるとパナソニックは説明する。
これまで危険ドラッグの成分を検出する場合には、採取したサンプルを大型の測定装置のある場所まで輸送し、前処理工程を行った後に検出していた。そのため、検出結果が出るまでに多くの時間を費やしていた。結果が出るまでに時間がかかり、その場に当事者がいた場合でも、逃亡を許すなどの課題があったという。