クラウド導入、セキュリティ強化が契機に

表舞台に登場してから約10年、クラウドコンピューティングは、バズワードだとか、危険だとか、それほどのメリットがないとか言われてきたけれど、IT(情報技術)業界の世界地図をすっかり塗り替えてしまった。

エンタープライズITさえ所有するものから利用するものへと、パラダイムシフトさせた。

日本市場でも、すでに多くの企業・団体がシフトしている。ITの導入時に、クラウドと従来型ITを同等に評価/検討する戦略を取る組織が最も多いものの、クラウドを優先的に検討する「クラウドファースト」へのシフトが見られるようになったという。IT専門調査会社のIDC Japanは、今年3月に実施したクラウドに関わるユーザー動向調査「CloudView 2017」の結果を発表した。

国内企業がクラウド導入の促進要因として挙げる項目として「ITセキュリティの強化」が最も多かった。中でも、ホステッドプライベートクラウドサービス(HPCサービス)では、56.0%の企業が「ITセキュリティの強化」を導入の促進要因であると回答したとのこと。
'11年~'16年までの調査では、「IT予算の削減」を促進要因とする企業が最も多かったのに、今回それは減少に転じた。特に、HPCサービスや、自社内に仕組みを築くエンタープライズプライベートクラウドでは、導入促進要因のトップ5に挙げられなかった。この変化は、クラウドによるコスト削減効果に対する過剰な期待が是正され、迅速性の向上といった価値を重要視する企業が増加したためだという。

一方、懸念事項に「セキュリティ」を挙げる企業が最多だった。国内企業はクラウドの導入について、セキュリティの強化に期待しながらも、懸念を抱いている姿勢が明らかとなった。

調査結果は、「CloudView 2017:国内企業のクラウドに対する期待は、コスト削減からセキュリティの強化へ」(JPJ41768817)に詳しい。