日本および世界の金融機関、攻めの姿勢を鮮明に

「ボーダーレス」は陳腐である。いまやIT(情報技術)は軽々と国境を飛び越え、モバイルおよびクラウドコンピューティングを実現し、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」時代を演出し、画像や人々のつぶやきなどを人工知能(AI)で分析し解析する、世界の社会インフラになろうとしている。

もっとも保守的だと思われる金融機関でさえ、営業地域のボーダーレス化は当たり前であり、ブロックチェーン技術を用いた仮想通貨を研究し、金融とITの融合であるフィンテックによる新たなサービスの開発を進めている。

日本、英国、アイルランド、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストラリア、米国、カナダの金融機関(銀行・保険分野)において、戦略的な変革プログラムの開発と実施の責任者を務める787名の経営幹部にインタビューを行った米アクセンチュアは、現地時間6月26日にその結果をグラフ等にまとめた"Financial Services Change Survey 2017"を発表。同社日本法人がきょう、発表文の邦訳をリリースした。

それによると、金融機関の半数以上が、主に顧客からの期待値の高まり、デジタルの破壊的な創造、コスト削減圧力や新たな規制に対応するため、今後1年間で変革への投資を拡大することが明らかになった。日本の金融機関においても欧州、アジア、北米と同様の傾向が見られたとのことだ。

最重要視している変革は、より良い顧客サービスと顧客体験の提供、デジタル技術およびチャネルの適用、効率性とコスト管理、リスクと規制遵守に関するものであった。金融業界では、ビッグデータやアナリティクス、モバイル、IoT、クラウドなど幅広いデジタル技術の取り込みを目指している。が、これらへの投資メリットを得られるかどうかは企業によって異なる。レガシーシステムの運用状況や分散データの存在、組織の複雑さなどが成功を阻む要因だという。