近ごろロボット掃除機が人気だ。自律的に部屋中を動き回り、バッテリーが減れば充電場所に戻る。いま開発が進み、荷役作業などに就くであろうヒト型ロボットはもっとすごくて、倒されても自分で起き上がり、段差を越えていく。いったいどうやって、「自分」の居場所と環境を感知しているのか。
自己位置の推定だけならGPSを使えばいい。現にドローンの自律飛行にはそれが使われている。けれど準天頂衛星「みちびき」が4機体制になってもメートル級の誤差は免れないし、長いトンネル内のカーブで車の制御はできない――。自律走行や飛行においては、レーザーやカメラ等を用いて位置および環境地図を同時に作成する、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)という技術が研究されている。
三次元で物体と空間を認識できれば、装置が「機械の眼」を持つことになり、自動運転やロボティックスをはじめとするあらゆる産業分野での活用が見込まれるという。Kudan株式会社は、カメラ画像を用いた独自の空間認識技術「KudanSLAM」を開発。これまでのAR/VR分野に加えて、きょうその技術提供を本格的に開始した。
スマートフォン用カメラでも動作し、他のセンサとも組み合わせ自由である。KudanSLAMはプラットフォームやアーキテクチャに依存せず、半導体チップへも組み込め、モバイルCPUでは5%以下の使用率で動作する。堅牢性にも優れていて、認識誤差は1mm~1cmであり、暗所、遮蔽内、予測困難な動きにも安定して対応するとのこと。
自動運転や先進運転支援システム、ドローン、産業用およびパーソナル・ロボット、AR/VR/MRなどにおいて、カメラが搭載されたあらゆるデバイスでの活用が期待される。KudanSLAMにより、今後同社は、実用SLAMのリーディングカンパニーとして、SLAMの一層の普及拡大を目指していく。