後側方の車を検知する薄型センサー、カムリに

今どきの新型車両には眼がついている。ドライバーの不安や事故を減らすため、視野を広げ死角をなくすべく、車体の様々なところに眼以上のモノを備えている。

さかのぼること十四年、世界で初めて、デジタルビームフォーミングという電子スキャン方式を採用したミリ波レーダーを開発し、商品化した。株式会社デンソーはきょう、後方および側方の車両を検知し車両の安全システムに寄与する、24GHz帯の準ミリ波レーダーを開発――これが7月に発売された「トヨタ カムリ」に搭載されると発表した。

準ミリ波レーダーは車両のリアバンパー内に搭載され、走行中にドライバーの死角となりやすい後側方走行車両や、後退時に左右後方から接近してくる車両を検知する。これにより、車線変更時に隣接車線を走行する車両の存在を通知するシステム、駐車場からの後退時に、右または左後方から接近してくる車両の存在をドライバーに注意喚起する仕組み、衝突の危険性がある場合は自動ブレーキ制御を行うシステム――これらの実現に貢献するという。

安全機能の実現には、車両の進行方向によって、検知を行う方向や範囲の切り替えが必要になる――。今回デンソーが開発した準ミリ波レーダーは、車両前進と後退の運転操作に連動して、移相器とよばれる装置を切り替えることで、検知の方向や範囲を切り替えることを可能にした。

電波を送受信する回路と移相器回路をそれぞれICに集積することで、センサーの薄型化に成功。移相器MMIC(モノリシック・マイクロ波集積回路)、送受信MMICに、米タワージャズ社製のウェハを採用し、出力レベル、受信感度の安定化を成し遂げたという。