配車もナビもまとめてIoT

昨今、タクシー業界ではあらゆるモノがネットにつながる「IoT」が急速に進展している。法令順守や労務管理のため、そして乗客への安心安全サービスの提供を背景に、車両には業務用無線機器やカーナビゲーション、ドライブレコーダーなど、多数の機器が搭載されている。

しかし現状、タクシーの車載機器群はそれぞれが独立しているという。JVCケンウッドは、同社の映像技術、音響技術、無線技術等の強みを生かして次世代IoTソリューション事業の拡大を目指す。一環として、クラウド型のタクシー配車システムの開発・導入を目的に、タクシー事業会社の三和交通(本社:横浜市)と業務協働に関する覚書を締結した。実証実験などを経て、来年度より横浜や多摩、埼玉エリアを中心に約500台の車両に新システムを随時導入していく予定だ。

業務用無線機器とカーナビゲーションを含む表示機を一つのセンター端末(タブレットPC)に集約することで、導入時のコストダウンを図る。仕組みを将来的には決済機やタクシーメーターも含めた統合システムにする。さらにクラウドを活用したコールセンターの新システムを開発し、センター業務の効率化を図るとともに、タクシー利用客向けのスマートフォン配車アプリと連携させることで、これまでにないサービスを開発していく。

次世代タクシー配車システムにおいて、単独でのサービス提供に留めず、他メーカーやシステム会社との連携や協業、プラットフォームの提供などの機会を増やすことで、タクシー以外にも、バスやトラックなどのモビリティを中心に、さまざまな業界の発展に寄与していきたいとする。

JVCケンウッドは、三和交通との取り組みを足掛かりとして、国内外のタクシー事業会社への展開を視野に、これらの技術を商用車テレマティクス(移動体通信情報サービス)へと発展させ、幅広い業務用車両向けのテレマティクスソリューションへと拡張させる構えだ。