2030年、先進技術が人とマシンの関係性を刷新

現在、デジタルによる破壊的変化によって、様々な業界で自社事業の見直しが進んでいる。また、世界中の経営者の多くが、自らの業界が今後どのようになるのかを予見できないという状況にある。

米国の非営利団体である「Institute for the Future」(未来研究所:以下、IFTF)は2017年7月、「The Next Era of Human-Machine Partnerships(人とマシンの協調関係が切り拓く人類の未来)」という調査レポートを公表した。

IFTFは、世界規模で社会および市場を変革する新しいトレンド、消えていくトレンドを明らかにする活動を行っている団体だ。今回の調査には、IFTFとテクノロジーや学術、事業分野の専門家20人以上が参画した。

この調査では、人工知能(AI)やロボット、仮想現実(VR)/拡張現実(AR)、クラウド・コンピューティングといった先進技術が、これからの10年間におけるライフスタイルとビジネスシーンをどのように変革するのかを検証した。また、未来のために消費者と企業はどのような準備ができるのかという点についても、そのヒントを示している。

調査レポートによると、ソフトウェアやビッグデータ、処理能力の飛躍的な進歩に支えられた先進技術によって、日常生活を取り巻く様々な環境が刷新されるという。

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●VR/ARが五感を拡張する

VR/ARはメディアとエンターテインメントを変革できるだけでなく、教育や医療、旅客・貨物輸送、建築、製造などの分野でも革新的な利用環境の開発を促進する技術。今後も多くの感覚情報を利用するVR/ARによって、最終的に人の五感は拡張され、認知の具現化を通じてメディアを体験することが可能になるという。

●進化するAIと機械学習には課題も

1956年のハーバート・サイモン氏による初期AIプログラム「Logic Theory Machine」誕生以来、AIは進化を続けてより賢くより速くなり、非常に複雑なタスクにも対応可能になった。自動運転車からSiriまでに応用されている一方で、AIの進歩によって新たな課題も生み出されている。「マシンが下した判断に対する道義的、倫理的責任は誰が負うのか」について今後の動向を見守る必要がある。

●ロボットがより身近な存在に

科学やテクノロジー、エンジニアリング、コミュニケーションが急速に発達したことで、新たな産業革命として「第二のマシンの時代」と呼ばれる時代になった。ロボットの能力と機能は飛躍的に広がっている。ディープ・ラーニング(深層学習)によってロボットの共感力と思考・判断力が高まることに伴い、ファミリー・ロボットや介護ロボット、シビック・ロボットは身近な存在になる。

先日、Googleが個性(パーソナリティ)を持った作業ロボットの製造に関する特許を取得した。実現には規制や法制など越えるべきハードルはあるものの、このトレンドの勢いに衰えは見られない。

●クラウド・コンピューティング以前は古い記憶

クラウドが登場してすでに久しい。2030年までに、クラウド技術があらゆる場所に普及することで、クラウド登場前と後の時代を比較して、クラウド前の時代がいい意味で古い記憶に感じられるようになる。

●2030年、人とマシンとの新たなパートナーシップ

この調査レポートでは、今後、人とマシンとの関係が一新され、より深くより没入的な関係となると予測する。

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2030年には、人々のニーズとリソースは複数の自己学習デジタル技術によって組織化される。また、先進技術が人の延長部分として日常的な活動の調整や管理を支援し、人は「デジタル・コンダクター」(指揮者)としての役割を果たすという。

さらに、先進技術が必ずしも人に取って代わることはなく、仕事を見つけるプロセスが一変し、「仕事」は場所ではなく一連のタスクを意味するようになる。機械学習技術によって個人のスキルとコンピテンシを検索可能になり、企業や組織はタスクごとに最適な人材を求めることができる。

2030年に存在する仕事のおよそ85%は、まだどのようなものなのか知りえない。変化のペースが速すぎるため、人々はARやVRなどの新しい技術を活用して「その場」で学習するようになる。知識そのものよりも、新しい知識を獲得する能力の方が高い価値を持つと予想される。

今回の調査をIFTFに依頼したデル テクノロジーズによると、世界16カ国の上級意思決定者の52%(アジア太平洋地域および日本:61%)が、デジタル技術の進化によって自社が事業展開している業界で大きな破壊的変化を経験したと回答。また、半数近くの企業が、今後3~5年で自社が時代遅れになる恐れがあると考えているという。

調査レポートでは、企業の今後の方向性についても言及している。それによると、ソフトウェアを中核に置いたテクノロジー・カンパニーになることが全ての企業で必要となるという。また、適切な技術スキルと、人とマシンとのパートナーシップの効果を最大限に引き出すことができる技術分野の人材が求められると予測する。

また、「人とマシンとのパートナーシップが、人の限界を超えてその長所を活用できる形でこれからの10年間にアプローチしていけば、私たちの全てにとってより良い未来を築くことができる」との見解を示している。

デル テクノロジーズ、「人とマシンの協調関係が切り拓く人類の未来」に関する調査レポートを発表

カテゴリー: 情報通信 , ロボット/AI   

大島 純一郎

大島 純一郎Author

証券系システムエンジニアやIT系資格対策問題集の編集、IT系Webメディアの編集記者などの経歴を生かして、企業向けIT関連の記事制作に携わる。専門は、IT、金融、医療分野。医療情報システムの企画/構築、運用に関する知識を有する専門者としての資格、医療情報技師、情報セキュリティアドミニストレータの保有者。

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