快適な空の旅を――ドコモが機内Wi-Fi高速化実験に成功

NTTドコモ(以下、ドコモ)は、航空機内Wi-Fi通信サービスの高速化の実証実験を岩手県、宮城県、福島県の上空で行い、2017年8月1日に成功したことを発表。LTE技術を活用した航空機と地上の間で直接通信を行う「地対空通信方式」を用いた。

今回の実験は、海上・港湾・航空技術研究所 電子航法研究所(以下、ENRI)、全日本空輸(以下、ANA)、パナソニック、ジャムコと共同で実施した。

ENRIが所有する実験用航空機「よつば号」に、パナソニックが開発した航空機用端末装置を搭載し、ANAが作成した立体的な検証飛行ルートに基づき、ジャムコがよつば号を運航
した。

ドコモはVHF帯TD-LTEの地対空通信方式の無線通信システムを宮城県に構築し、岩手県、宮城県、福島県の上空エリアで実験局免許を取得した。VHFとは、Very High Frequency(超短波)の周波数帯域のこと。TD-LTEとは、上りリンクと下りリンクで、同じ周波数帯域を用いて時間分割して信号伝送を行う技術のことだ。

今回の実証実験では「地対空通信方式による航空機内Wi-Fiサービスの実現性の検証」「上空における各種サービス通信品質についての検証」を行った。

実験基地局から高度最大28,500フィート(8,700メートル)、半径最大93キロメートルの上空エリアカバーを確認。また、航空機の巡航速度が230ノット(430キロメートル毎時(km/h)において受信時最大27Mbpsの通信速度で地上との通信を確立することができた。

さらに、機内Wi-Fiサービスにおける利用シーンを想定したインターネット通信、メールやメッセージの送受信、ライブ映像の視聴、電子雑誌の閲覧などのリッチコンテンツサービスが地上と同様に機内でも利用できることを確認した。

現在商用化されている多くのWi-Fiサービスなどの旅客用データ通信は、航空機と地上との通信に衛星通信方式を使用している。ドコモによると、地対空通信方式は航空機側装置がより小型になるというメリットがあるという。

ドコモは今後、さらに幅広いパートナー企業との連携を促進し、これまで培った移動通信技術に関するノウハウを活用。航空通信分野においても、積極的に通信技術の向上に貢献することで快適な通信サービスの利用を可能にすることを目指す。