厨房にてもいちはやくウィルス拡散を防ぐ

鍋の季節、二枚貝を生もしくは十分に加熱せずに食べると危険だ。というと、知識のある人は「ノロウィルス」を思い浮かべる。それが原因の食中毒は平成27年に481件発生し、患者数は約1万5千(厚労省統計)。患者の吐しゃ物による二次感染や共同生活者同士の飛沫感染などもある。

食品製造会社の従業員、飲食店の調理従事者、家庭の料理人たちが感染すると、彼彼女を介して汚染した食べ物を、家族や不特定多数の人が口に入れることになり、感染者は一気に増える。ノロウィルス食中毒は世界中で報告(厚労省「ノロウィルスに関するQ&A」引用)されていて、日本国内では、HACCP(ハサップ、Hazard Analysis Critical Control Point)の概念に基づいた「大量調理施設衛生管理マニュアル」にて10月~3月、食品調理従事者の月一検査が推奨されている。

アルコール消毒などでは予防効果が低いとされ、有効な処方薬も開発されていない。「ノロウイルス」の流行を防ぐには、早期にウイルスを検出し、拡散を止めることが重要だという。東洋紡は、「ノロウイルス検出キットG1/G2 ―高速プローブ検出 Quick Step―」を開発。来月より販売すると発表した。

従来の同社遺伝子増幅技術を用いた高感度ノロウイルス検出キットは、'14年の発売当時、最速級であったが、検出に2時間30分要していた。その後、検出法や試薬等の改良を重ねて検出時間を1時間30分、52分と短縮したキットを開発し販売してきた。そして今回、最短39分になる――。

新キットは、試薬の改良によって前処理の一部が不要となったほか、検体中のノロウイルスが微量でも検出できる感度の高さも備えている。

今年改訂された上記衛生管理マニュアルで推奨の検査法、「便1g当たり105個程度のノロウイルスを検出できる」条件を満たしている。