従業員の全ての行動をAIが監視? NRIが開発

野村総合研究所(以下、NRI)は、「働き方改革」を推進するためのコンサルティングサービスの提供を開始した。AI(人工知能)を活用し、個々の従業員のスケジュール情報を分析してその時間の使い方を可視化する技術を開発した。

今回開発した技術は、「顧客との打ち合わせ」「社内会議」「移動」「私用」など分類したい切り口に合わせて、スケジュールに登録されている件名の特徴をAIに学習させて時間の使い方を色分けする。

NRIによると、使用するAIは「リカレントニューラルネットワーク」(RNN)型だという。RNNとは、人間の脳の情報処理の働きを模した数学モデルであるニューラルネットワーク(神経回路網)を活用し、入出力の時系列情報を多層構造で理解させるものだ。

AIを活用することで、多数の従業員の長期間のスケジュールを自動で色分けし、どのように時間を使っているのかを明確にする。働き方改革の切り口となる課題を定量的に示せるという。

また、従業員個人のスケジュール情報を「グループ単位」や「部署単位」で集計・分析でき、部署別の特徴を明らかにする。分析結果は「働き方ダッシュボード」として、Web形式で閲覧可能だ。

働き方ダッシュボードの主な機能は以下の通り。

(1)労働時間の内訳の集計:特定期間について、従業員一人ひとりのスケジュール情報を色分けし、その人の一日の使い方を表示。グループや部署単位で集計することで効率化すべき業務を明確にする。

(2)社員の空間移動の可視化:外回りや出張が多い職種の従業員については、活動エリアなどを「ヒートマップ」を利用して可視化。ヒートマップでは、どこで頻繁に活動しているかを地図上でサーモグラフィー状に表示する。

(3)従業員の人的ネットワークの可視化:社内の人的つながりを把握するため、会議参加者の情報などを利用し「社内の誰と、どの程度の頻度で打ち合わせをしているか」などを可視化する。

NRIでは、コンサルティングサービスとしてさらに深い分析を行い、ITツールやルールの導入といった最終的な改善策を提案することを目指す。