人気急上昇はAIにお任せ!

男子児童が「なりたい職業」でトップ20のユーチューバー、中学生では男女ともにトップ10に入っている。といって驚くなかれ、一般の大人だって、ランチやディナーの味や会話、旅先の風景なんかよりも自撮りを優先したりして、投稿に血道を上げている。

いいね!の数が気になって夜も眠れない、人がいる。

SNSは生活に密着したメディアとなった。ユーザーにとって自身の投稿コンテンツの閲覧数、お気に入り数といった指標「人気度」は重要である。SNSをマーケティングに用いる組織にとっても、それは効果を測るものさしになっている。だがコンテンツの氾濫するなか、特定コンテンツの人気を意図的に上げるのは困難である。現在、経験と勘を頼りに専門家が人気獲得のアドバイスを行うことが主流だという。

科学技術振興機構(JST)は、投稿画像や映像の人気度を上げられるタグを、AI(人工知能)を用いて推薦する技術を東京大学大学院情報理工学系研究科 電子情報学専攻の山崎 俊彦 准教授らが開発したと公表。同機構の戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)によって得られた成果だという。

約6万枚の画像をAIシステムに学習させ、約2000枚の画像に同システムが推薦したタグを付けてSNSに投稿――。10日後には人手によるタグだけの場合に比べて2倍程度の閲覧数を獲得できた。AIはもともと人が付けたタグを参考にしていて、コンテンツに合うタグを推薦することも約1500名の主観評価にて検証済み。スコア計算にかかる時間は通常サーバで数秒程度のため、毎日タグを推薦し直すことも可能とのことだ。

SNSでのプロモーションのほかに、ECサイトのクリック率向上、ニュース配信等での印象的なヘッドライン作成などでも効果が期待される。

研究成果は、今月19日から豪メルボルンで開催の国際会議、「IJCAI-17」にて発表予定だ。