KDDIら、IoTを活用した農業効率化の実証実験を帯広で開始

KDDIと、独立行政法人 中小企業基盤整備機構北海道本部、シスコシステムズは、北海道帯広市の飯田農場でIoTを活用した農業効率化の実証実験を開始した。北海道地域で取り組んでいるIoTを活用した中小企業の事業創出の第一号案件となる。

飯田農場と、帯広大正農業協同組合(以下、JA帯広大正)、システムデザイン開発株式会社(以下、SDD)、株式会社ディーディーエル(以下、DDL)、長沼商事株式会社(以下m長沼商事)のビジネスアイデアを選定。飯田農場内で2017年8月1日からIoTを活用した実証実験を開始した。

北海道の農業は、広大な耕作面積にて大規模に展開され、多様な農作物が栽培されている。その中でも、屋外で作物を栽培する「露地栽培」は、施設栽培に比べて生産コストが安く、畑面積の拡大が容易である。その一方、天候などの影響を受けやすく廃棄ロスの多さが課題だった。

実証実験は、IoT向け通信技術「LPWA(LoRaWAN)」を活用する。LPWAは、少ない電力消費で数キロメートルの長距離通信が可能になる通信技術だ。

露地栽培にとって重要な外気温や湿度、土中の温度や含水率などを測定しリアルタイムでの可視化によって、種まきや出荷に最適な時期の把握、水撒きの最適化、大根などの農作物の効率供給を目指す。また、LPWAを活用することで通信費用を最小化する。

実証実験で期待される効果について、参画団体では、農作物育成に関する知識・技術のデータ化と蓄積・解析結果を活用し、属人的で暗黙知であった知識・技術を形式知にすることで伝承を容易にすると説明する。農家にとって重要な課題となっている後継者育成課題の解決に貢献できるという。

KDDI、JA帯広大正、飯田農場、SDD、DDL、シスコ、長沼商事、中小機構北海道は今後も、IoTを活用し、幅広く農業分野に役立てることを目指す。