情報通信
山や災害現場のドローン、169MHz帯で安定飛行へ
小型無人機ドローンの活用シーンが多彩になってきた。空撮や農薬散布、小包等の運搬だけでなく、災害現場での捜索にもその力を発揮させようという動きがある。だが現状、その制御等に用いられる電波の周波数帯がWi-Fiなどにも使われている2.4GHz帯であるため、飛行空域に制約がある。
2.4GHz帯は、ロボットが使う無線LANなどの干渉を受けやすいだけでなく、障害物や地形などにより電波が途切れやすい。物流や災害対応等で想定される、操縦者から1km以上離れた場所でのドローンの安定運用は困難であったという。情報通信研究機構(NICT)および産業技術総合研究所(産総研)のグループは、昨年8月に総務省が制度化したドローン等用の無線周波数の一つ169MHz帯を使ったドローンの遠隔制御飛行に初めて成功した。
政府機関主導の「ImPACT」(革新的研究開発推進プログラム)の一環だという。実験では、地上の操縦者からドローンまで直接無線をつないだ制御のほか、上空に滞空する他のドローンを経由して目的のドローンの制御と状態把握を行うマルチホップにも成功。ドローン飛行中に920MHz帯の周波数との切替えが遠隔からできることも確認した。今回の開発により、異なる伝播性を持つ複数周波数にまたがる運用が可能となり、飛行に必要な電波を格段に高信頼化できる見通しが得られたとのことだ。
災害被災地域や山間部で安定した通信が不可能。無線の問題でロボットが使用できなかった、有視界外にあるロボットの状態をモニタし続けられなかったなどという従来の課題を解決する。
169MHz帯は遠距離であっても障害物があっても通信できるため、災害現場、特に有視界外飛行でのドローンの実用性と安全性を飛躍的に高めるはず。今後商品化等を進めることによって、災害時のロボット活用推進のための重要な基盤になると期待される、とのことだ。