メディカルVR、医学教育が牽引。治療にも

そこに実物があるように知覚させる。バーチャルリアリティ技術は、1990年代に日本の大手電機メーカーなどでも実用化の研究が進んでいたが、装置が大きすぎるなどの理由でいったん下火になった。けれど近年エンターテイメントの世界で開発投資が再燃し、実業分野での活用も期待されている。

バーチャルリアリティは、仮想現実のことであり、英語で書けばVirtual Reality。これに効果の増大や半音広げるといった意味の英単語"Augment"を使ったAugmented Reality(拡張現実)や、ごちゃ混ぜの"Mix"を用いたMixed Reality(複合現実)が加わり、多くの専門家でさえVR・AR・MRの差を明確に説明できない。というような些細なことはどうでも良く、いま大事なことは、仮想現実の応用範囲だろう。

デジタル化を加速して、人材や知識や経験の不足、それらの地域による偏在を補正しようとしている医療分野では、仮想現実テクノロジー全般の活用が特に期待される。
その現状と将来展望を、市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニングが明らかにした。

工学系および医学系の有識者、医療施設、参入・開発企業へのヒアリングなどを行い、まとめたという。「医療におけるVR・AR・MRの活用事例と市場展望」によると、国内の医療分野における仮想現実市場の牽引役は、手術トレーニングや検査シミュレーション等の医学教育――。来年以降、治療や診断での活用も進み、2021年には医療向けVR・AR・MR市場規模が約153億円になり、これに新たなリハビリ用製品も加わるであろう'26年には約342億円になると予測されている。

同レポートでは、VR・AR・MR技術の変遷と現状が解説されていて、その活用事例も紹介されている。