ヨーロッパの風に吹かれて

再生可能なクリーンエネルギーである風力。これによる発電施設は昨年、世界90ヶ国で54ギガワット(GW)分つくられ、累積発電能力は12.6%伸びて、トータルで486.8GWに達したという。

Global Wind Report 2016」を発行した国際的業界団体、世界風力会議(GWEC)は世界状況の概説にて、昨年驚くほどの力強さを示したのは欧州で、同地域は洋上風力発電をその経済性でも牽引しているとした。

他方日本では、2020年には'11年比で約40%のコスト低減が可能との試算も報告されているという。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、銚子沖と北九州市沖に着床式洋上風力発電計2基を設置したばかりである。

いま国内で導入計画中のものが10件以上存在していて、それらを商用化の軌道にのせるには、発電コストを低減する技術開発と市場拡大の推進が不可欠だという。NEDOは、日本での導入拡大に向けて、洋上風力発電システムに関する調査研究5テーマに着手。発電コストを構成する資本費(CAPEX)、運営費(OPEX)の低減を目指す。

日本の海底地形・地盤に適した基礎構造、洋上での工期を短縮し得る洋上施工技術、これらの提案技術により波及する維持管理などのコスト低減効果について、風力発電事業者や建設請負事業者などと共同で検討、評価を行う。水槽試験やシミュレーションなどにより技術的妥当性を評価する。さらに既存の施工方法とのコスト比較を実施し、日本の洋上風力発電市場の低コスト化に資する先進的な技術を抽出する予定だとした。

事業は、「風力発電等技術研究開発」、「洋上風力発電等技術研究開発」、「洋上風力発電システム実証研究(低コスト施工技術調査研究)」といった名称のもと、それぞれのテーマで委託先が決まっている。