近ごろつながる車(コネクティッドカー)と自動運転技術まわりが賑やかだ。自律走行できるレベル4以上でなければ、自動運転とは呼べないという意見も飛び出している。それを是とするにしても、つながるのは車とクラウドサービスやデータセンタだけで良いのだろうか――。
運転を車に委ねていても、急にドライバが制御権を掴みたくなる。あるいは、ドライバが自ら運転するのを回避したくなるケースも考えられる。
自動運転時代に向けたプラットフォーム「Renesas autonomy」を推進している、ルネサス エレクトロニクス株式会社は、ソフトバンクグループのcocoro SB株式会社が保有する人工感性知能「感情エンジン」を活用し、感情を持ったクルマがドライバの感情をくみとり、ドライバに合わせて最適な応答をするクルマを実現可能なR-Car用開発キットを発表した。
ヒト型ロボットPepperにも搭載の感情エンジン――音声感情認識技術と、擬似的ホルモンバランスの形成により感情を生成し、それを色と量で可視化する「感情地図」にて表現する感情生成技術――を用いて、ドライバの発声から「自信」や「不安」等の感情を認識する。そしてその応答を車載情報システム用SoC「R-Car」を用いて、クルマがドライバを思いやる新たなユーザインタフェースで表現する。
たとえば自動運転の切り替え時、同意の発声に「不安」を認識したら、「自動運転を見合わせますか?」と親切に尋ねる。R-Carを人工知能(AI)の機械学習と結びつけ、クルマがドライバとの対話を学習するにつれ、ドライバにとって最適な応答ができるクルマに成長することも期待できるという。
ルネサスは、今回の開発キットを年内にリリースする計画であり、これを搭載した「つながるクルマ」のシミュレータを、今週末ザ・プリンス パークタワー東京で開催の「SoftBank World 2017」にて披露する予定だ。