新造船、基本設計時に生産計画へ

中国・韓国企業の台頭や国際規制の強化などで、日本の造船業を取り巻く環境の変化は厳しさを増している。量産製品と違い、船舶は一隻ごとに構造が異なるのに、設計と生産を並行せねばならぬほどに、造る時間の余裕がない。

いま、建造時間の短縮は至上命題であり、生産検討に使える時間はあまりない。ゆえに情報技術(IT)を利用して、本邦造船業の強みである高い現場生産性をより高めることが最重要だという。株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ(NDES)と、NAPAグループ(本社:フィンランド・ヘルシンキ)は、両社の造船向け設計・製造支援システムの連携、およびエンジニアリングサービスの事業化に向けた協力で合意した。

長年造船システムに携わってきた互いの長所を組み合わせ、造船業の生産性向上に寄与することを目指す。NDESとNAPAは今回、基本設計を支援するシステム「NAPA Steel」と生産検討を支援するシステム「Beagle」の3次元データ連携を可能とするインターフェースの開発および商品化の取組みを開始する。

同インターフェースにより、設計初期段階から生産性を考慮した構造の設計や、構造を考慮した組立手順・計画を検討するなどして、構造設計の完成度を前倒しし、建造現場の生産性アップを図れる。造船プロセスにおける円滑な工程間連携を促進し、ものづくり思想を基本設計の段階から折り込むことを可能にする。

造船のトータルコスト低減を確信しているという。NDESは、「NAPA Steel」を利用した設計支援・解析支援等のエンジニアリングサービスの事業化にも取り組む。その検討・準備にあたり、NAPAは技術サポート等の強力な支援をNDESに提供する。エンジニアリングサービスの実現により、日本国内での「NAPA Steel」の利便性と有用性が増し、船舶設計の安定運用に大きく貢献するとのことだ。