都会の真ん中で目撃することもある。銀色の塀の隙間へ、警備員に誘導されてダンプトラックなどが入っていく光景――。多くの建設現場では現在、入退場車両の照合および管理は、ゲート通過の際、紙台帳と筆記によってなされている。ために大層時間が掛かる。
車両の入退場が迅速かつ正確に行われなければ、渋滞や騒音などで周辺環境に悪影響を及ぼす可能性があるという。大成建設株式会社と東芝デジタルソリューションズ株式会社は、入退場車両管理システム「T-Gate.Navi」を開発し、複数の大規模建設現場で実証実験を行った。結果、車両管理情報の「見える化」の促進と、業務効率の向上すなわち車両管理業務の約20%省力化が確認されたと発表した。
「T-Gate.Navi」は、入退場車両の情報をデジタル化し、正確に把握・共有・記録する。眼鏡型ウェアラブル端末と東芝コミュニケーション人工知能(AI)「RECAIUS」の画像および音声認識技術を活用していて、同端末で撮影した画像から、情景文字認識技術で認識した車両ナンバーと事前登録された車両情報とを照合し、その結果を同端末の視野上に表示できる。ほかに、特定キーワードの高速かつ正確な音声認識による撮影、表示などのハンズフリー操作や、通信機能による遠隔での入退場車両情報の確認および帳票化・表形式データへの保存、あらかじめ設定された対象者に車両情報をメールで通知し、情報共有を可能にするといった特長を備えている。
同システムの実用化に向けて大成建設は、今後、現場での展開を進めるとともに、最先端ICT(情報通信技術)を用いた建設情報マネジメント技術を主項目として、生産性向上や働き方改革を推進していく。一方、東芝デジタルソリューションズは「RECAIUS」を含めたIoT(Internet of Things)技術を活用し、さまざまな業界にて顧客の業務変革に取り組んでいく構えだ。