川崎重工、ビッグデータを活用した船舶運航管理支援システムを初受注

川崎重工業株式会社(以下、川崎重工)は2017年7月13日、ビッグデータを活用した新開発の船舶運航管理支援システム「SOPass」を三井物産株式会社(以下、三井物産)から受注したことを発表した。三井物産が用船する川崎重工建造のLNG運搬船に搭載する。

SOPassは、川崎重工が販売している一般貨物船向け最適航路の情報提供を行う船舶総合情報サービス「K-IMS」や、LNG運搬船向けにガス燃費解析が可能な運航管理支援システム「LNGC-NEO」「LNGC-ISS」が有する個々の機能向上かつシステム統合を図ったシステム。新たにクラウドサーバの利用や機械学習機能を追加している。川崎重工によると、業界初となるLNG運搬船向けLNG貨物の管理最適化機能を新開発したという。

具体的には、クラウドサーバに蓄積した航海時の燃料消費量や気象情報、船体の状態などの各種データを分析、学習することで様々な種類の船舶に対して安全かつ最少燃料消費量となる運航が可能な航路を提案する。燃費や船速、メンテナンス管理などに関する将来予測の自動レポーティングも可能で、運航コストの低減や安全性の向上を図っている。

また、LNG運搬船に特化した業界初の機能として、輸送中に自然蒸発する天然ガス(ボイルオフガス)を管理し、燃料消費量が最少となる航路や最適なヒール量(バラスト航海中に冷却用冷媒および航海用燃料としてカーゴタンク内に残すLNG量)での運航を提案する。

さらに、公的な第三者機関である一般財団法人 日本海事協会の100%子会社である株式会社シップデータセンターと協力。プライベートクラウドサーバを起ち上げることで、情報漏洩やコンピューターウイルスによる被害への対策など強固な守秘・情報管理体制による情報漏洩防止対策を施している。

三井物産向けSOPassでは三井物産とカスタマイズ・協業を実施する。SOPassは、ユーザーの使い方に合わせたシステム機を構築できると川崎重工は説明する。また、同社は様々な種類の船舶へSOPassを搭載し、最適な運航航路の提案や荷役部・機関部の運転状況を可視化することで、より経済的で安全な運航に寄与するという。