風力発電から低炭素水素を製造し、フォークリフトへ供給する実証事業が本格運用

神奈川県、横浜市、川崎市、岩谷産業株式会社、株式会社東芝、トヨタ自動車株式会社、株式会社豊田自動織機、株式会社トヨタタービンアンドシステム、日本環境技研株式会社は2017年7月12日、環境省委託事業「平成27年度 地域連携・低炭素水素技術実証事業」に採択された実証プロジェクトの本格運用を開始したことを発表した。

実証プロジェクトは、京浜臨海部における再生可能エネルギーを活用した低炭素な水素サプライチェーンモデルの構築を図るというもの。「横浜市風力発電所(ハマウィング)によって水を電気分解して水素を製造するシステム」「最適な水素供給を行うための貯蔵と輸送の仕組み」「燃料電池フォークリフトの導入利用」「水素サプライチェーンの事業可能性調査」などが実証テーマとなっていた。

同プロジェクトでは、ハマウィング敷地内に風力発電を利用。水を電気分解して低炭素の水素を製造し、貯蔵・圧縮するシステムを整備した。製造した水素を簡易水素充填車により輸送し、横浜市内や川崎市内の青果市場や工場・倉庫に導入した燃料電池フォークリフトで使用するサプライチェーンを構築。燃料電池フォークリフトは、電動フォークリフトに比べて充填時間が短く、使い勝手においても特に問題はないと評価された。低炭素水素のサプライチェーンを構築することで、従来比80%以上のCO2削減効果があると試算している。

また、実証プロジェクトにおけるコストの評価から、量産効果の検証や必要な規制緩和項目などの洗い出しといった今後の水素価格低下に向けた対応の方向性を検討。2030年頃を見据え、技術革新やサプライチェーンの大規模化による普及/横展開モデルを予定している。

今後もハマウィング敷地内で燃料電池フォークリフト12台、簡易型水素充填車2台を用いた水素供給を引き続き検証する。また、クラウドを利用して水素の製造から利用まで管理・運用を実施する。