革新的ベンチャーに投資を拡大

あらゆるモノがネットにつながる「IoT」は第4次産業革命の基盤であり、人工知能(AI)、ロボットがそれを補強する。自走するコネクティッドカーの時代を目前にして、社会インフラそのものをスマートに変える潮流が、先進各国に渦巻いている。

それはつまり、技術革新の競い合いであり、革新的技術の種の奪い合いでもある。今日、米国でAI等の研究開発を行っている、トヨタ自動車の子会社Toyota Research Institute, Inc.(TRI)は、1億ドルを投じ、ベンチャー企業への投資を目的としたVCファンドの設立を発表。同ファンドは新会社「Toyota AI Ventures」が運営し、AI、ロボティクス、自動運転・モビリティサービス、データ・クラウド技術の4分野で有望ベンチャーへの投資をしていく。米TRI本社で助言やサポートを行う、選り抜きベンチャーの育成支援も企図している。

TRI社CEOのギル・プラット氏は、トヨタの歴史と近未来を紐解いたうえでこのようにいう。
「世界トップの起業家精神にあふれた優秀な人材との連携を広げることが極めて重要だと認識している。「人々の暮らしを豊かにしたい」TRIは、トヨタと目標を共にする、起業家の志を実現すべく尽力していて、ファンド設立はその重要な一歩である」

AI搭載センサーデバイスにより、ドライバーの運転行動や道路環境をモニタリングし、事故防止につなげる企業向けシステムと、視覚由来の有益なデータや知見を提供する「Nauto」。自動運転車やドローン等向けに周辺地図や位置情報を生成するアルゴリズムを開発する「SLAMcore」。独り暮しのシニアが自宅にいながら家族や友人たちと交流できるロボットを開発している「Intuition Robotics」。3社への投資を引き継ぐ同ファンドは、革新的技術をキーワードに、さらに投資先を検討していくという。