ノウハウと知見の森をサーチする

厳しい企業間競争下でのコスト削減を進めながらも、維持してきた有形・無形の「現場力」が、団塊世代の大量退職を大きな契機として、弱体化していく。

技能の継承や発展をどのように行うかは、ものづくり企業にとって、その存在基盤につながる恒常的かつ本質的問題としてとらえるべきものである。

10年前、経済産業省の「ものづくり人材育成環境の再構築」と題した資料で上述のような警鐘が鳴らされた。「2007年問題」は特定世代に結びつけて語られたが、技能や知識の継承そのものは、いつの時代でも、あらゆる組織に普遍的な課題である。

製造業の現場ではいま、ベテランの知見は言語化されずに現場技術者の暗黙知としてのみ蓄積されている。技術文書等に記述されていても体系的に管理されていないので、新しい世代に伝達されにくい状態にある。設計など上流工程にても、図面、技術文書、不具合情報等の情報がさまざまなサーバーに分散管理されているため、必要な情報が探し出せないことも多く、手戻りや類似トラブルの頻発、重複作業等が発生しているという。

富士フイルムグループの富士ゼロックス株式会社は、ベテラン技術者の知見やノウハウを体系化することで次代への伝承をサポートする「技術伝承ソリューション」と、分散管理されている技術情報を横断的に検索できるエンタープライズサーチ商品とを組み合わせた「技術伝承ソリューション エンタープライズサーチ連携」の提供を開始した。

同社は「技術伝承ソリューション」を通し、ベテラン技術者の暗黙知を引き出して体系化する方法論と、独自の文書管理技術を駆使したArcSuite Engineeringを提供してきた。ここに、社内に分散している複数のファイルサーバー内の情報を一括検索できる「QuickSolution」(住友電工情報システム株式会社製)を組み合わることで、設計、製造にまたがる技術情報共有に関する課題解決を支援する。