企業間物流の構造を変革する

さまざまな企業が物流網でつながっている。いま、ひと種類のネジの供給が滞っただけで全国各地の製造ラインが停止する。電子商取引(EC)サイトを活用したB2Bロジスティックスも盛んだが、肝心要の物流が古い構造のままである。

日本のサプライチェーンでは、荷主・納品先企業と物流事業者間における、出荷納品時の煩雑作業や待機時間の発生、ドライバーや車両不足等により、社会的な機会損失が恒常的に発生している。一方、デジタルテクノロジーの飛躍的な進歩に伴い、従来のサプライチェーンを抜本的に変革できる可能性が急速に高まりつつあるという。ラクスル株式会社とヤマトホールディングス株式会社はきょう、デジタルテクノロジーを活用し、企業間物流の構造変革実現を目指すため、資本提携を行うと発表した。

「仕組みを変えれば、世界はもっとよくなる」と、印刷業界でインターネットを用いた新しい仕組みをつくり、顧客企業、印刷会社双方の経営効率化を目的に事業を展開。一昨年末から、中小運送事業者トラックの非稼働時間と、荷主企業の物流ニーズをタイムリーにマッチングする「ハコベル」を展開している。ラクスルのノウハウと、デジタルイノベーション推進室を設置するなど、多様な企業顧客をもつヤマトHDが推進する「バリュー・ネットワーキング」とが資本を交えて合体する。

これにより両社は、荷主・納品先、物流企業が抱える"ムリ・ムラ・ムダ"に対する解決策の提案や、企業間で異なる商習慣から生じる、相対で変わる"複雑な関係をシンプル"にする。テクノロジーを活用した「オープン型の物流プラットフォーム」を構築し、様々な業界の企業間物流の構造変革の実現を目指す構えだ。