6者が実施する研究開発では、過去に発生した気候変動の影響を踏まえ、台風発達から沿岸部までの大気や高潮、波浪の状況を同時に評価する災害予測モデルを開発する。また、グリーンインフラによる減災効果を検証・評価するための高解像度な海面変動モデルを開発。マングローブの生態系分布調査や水理模型実験によって、生理的・物理的特性を数値化したモデルを開発する。また、これらのモデルを組み合わせて、スーパーコンピュータ上で高速計算を実行し、沖合から沿岸までの減災効果の定量的な検証や評価を行う。スーパーコンピュータには、国立研究開発法人海洋研究開発機構の「地球シミュレータ」などを使用する。
さらにグリーンインフラに防波堤などのコンクリート構造物(以下、グレーインフラ)を加えた場合の減災効果を検証し、効果的な組合せを中長期的に評価する仕組みも構築する予定。研究開発は、独立行政法人環境再生保全機構「環境研究総合推進費」によって実施する。
京都大学は、温暖化による台風増加と沿岸ハザード評価を実施する。NECは、スーパーコンピュータ技術の適用によるシミュレーション高度化。具体的には、フィリピンの特定地域を対象にシミュレーションを実行し、沖合から沿岸までの減災効果の定量的な検証・評価を行う。国立環境研究所は、マングローブ生態系分布情報をフィリピンにおいて収集し、GIS(地理情報システム)データとして整備する。東北学院大学は、植生調査、高精度3Dスキャナ、3Dプリンタ技術などを活用し、マングローブの樹種ごとの3Dモデルを作成する。茨城大学は、フィリピンにおけるグリーンインフラの物理的特性と初期投資・維持費用をモデリングし、減災効果と費用対効果のシミュレーションを実施する。港湾空港技術研究所は、大規模水理模型実験と流体数値シミュレーションにより、インフラ及び居住地へ作用する波や流れの影響を調査し、耐力を定量化する。