官民一体となって推し進めている働き方改革。「働き方」といっても、その実態はさまざまだ。仕事と私生活のバランスを重視する働き方もあれば、日々の業務負担を改善する働き方もある。職種や職制、個人でみれば、改革の種は無数にある。
大企業では、たとえば転勤時の手続きなどについて、人事や総務に尋ねることがある。業務ソフトの使い方をIT部門に聞くこともあるだろう、それらの数が膨大で、ときには聞く側答える側双方に不満がたまる。
約6,000の従業員をサポートするサッポログループマネジメント(株)では事実、対人対応業務で「複雑な問合せに対応する業務の負荷が高い」とか、利用者側で「回答待ちの時間が発生し、不満が解決されにくい」「申請手続きが煩雑でわかりにくい」といった課題を抱えていたという。
サッポロホールディングス株式会社と、株式会社野村総合研究所(NRI)は共同で、人工知能(AI)技術を用いてグループごと業務効率化を推進する実証実験を約5ヶ月間――。人事・総務・経理・情報システムなど本社機能を分担するサッポログループマネジメントにて、NRIのAIソリューション「TRAINA」を用いて、サッポロ社員からの問合せ対応業務がどの程度効率化できるかを測定した。結果、実験期間中に発生した問合せの45%が人手不要、AIで回答可能であることが確認できたという。
PCの専用画面に質問を入力すると、内容特定のための質問や回答が自動で返される。問題解決に要する社内申請画面へのリンクが案内され、開くと過去「TRAINA」とのやりとりで得られた情報(ログイン者名や社員コードなど)が自動入力された状態となる。仕組みにより、従来申請の際に要していた入力等の負荷が軽減され、問い合わせる社員の満足度が向上するだけでなく、回答負荷が大幅に減るため、人財を成長分野へシフトさせることが可能となり、業務改革が加速されるとのことだ。