株式運用の投資判断の向上を支援するAIシステムの実証実験

野村アセットマネジメント株式会社(以下、NAM)は、株式会社野村総合研究所(以下、NRI)と共同で、AI(人工知能)を用いたニュースやアナリストレポートなどの自然言語分析に関する実証実験を実施したことを発表した。

両社は、機械学習・深層学習のAI技術を用いてアナリストレポートを含む日本語の各テキスト情報を分析。当該テキスト情報内に登場する企業に対してポジティブ(業績や企業価値が向上する可能性が高い)な情報か、ネガティブ(業績や企業価値が向上しない可能性が高い)な情報であるかを数値化し、株式運用を行うポートフォリオマネージャーの投資判断の向上に資するかを検証した。

NAMとNRIは、実証実験に用いるシステムを構築。投資判断の変更が表明されたアナリストレポートに対して自然言語分析を行い、ポジティブ/ネガティブそれぞれの文章的な特徴を導き出す。この特徴をAIが判断モデルを作り出す例題となる教師データとし、評価対象のテキスト単位でプラス(ポジティブ評価)、またはマイナス(ネガティブ評価)の数値を出力する。教師データとは、コンピューターが学習する際に与えるデータのことで、事前に教師データで正解を教えてもらうことでコンピューターが学習することになる。

また、システム構築に当たっては、NRIのAIサービス「TRAINA/トレイナ」の開発で得られた自然言語分析に関する知見を活用している。TRAINA/トレイナは、コールセンターを含む窓口業務において、問い合わせの内容を的確に理解し、過去に得た知識を基に回答候補を提示したり、自動で回答したりするAIサービス。

両社によると、日本語のアナリストレポートの解析とスコア化は国内運用会社としては初の本格的な取り組みだという。また、アナリストレポートにおける分析では、人間が定性的に把握している特徴を定量的なスコアによって導きだすことが可能になったと説明する。ニュースやマイクロブログに対しても、ポジティブ/ネガティブのスコアを算出し、一定程度活用することが可能であり、投資判断を支援できる可能性が示唆されたという。将来的には、人間による定性評価では捉えられなかった変化を定量的に把握し活用していくことが期待できるとの見解を述べている。