商用通信回線を用いて遠隔医療指導に成功!

メスを入れずに、画像診断装置(X線透視、超音波、CTなど)で体内を見ながら、細いカテーテルなどを用いて血管の中から病巣に到達して行う。血管内治療は患者の身体に負担が少ない。けれどもそれができる施設は限られている。

高度な専門的知識と医療技術を必要とするため、高難度の治療においては熟練した専門医の確認のもとでの施術が望まれる。だが、常にそのような体制で実施できる施設は多くないという。国立大学法人金沢大学と医療法人社団 和楽仁 芳珠記念病院、株式会社PFUの子会社でグループ内の新規ビジネス創出を担うPFUビジネスフォアランナー株式会社、EIZO株式会社はきょう、国内で初めて(4者の調べ)、遠隔地の病院間で4K映像伝送を用いた血管内治療・遠隔医療指導の実証実験を行ったことを公表した。

金沢大学、PFUビジネスフォアランナー、EIZOは、これまで「遠隔医療指導システム」の実現を目指し、金沢大学附属病院内において同システムの有効性の検証を進めてきた。

そして今月16日、指導側の金沢大学附属病院医局と、施術側の芳珠記念病院の血管造影室とを商用の高速IPネットワークで結び、2時間におよぶ血管内治療「選択的肝動脈化学塞栓療法」の指導を行った。結果、遠隔地からでもその場にいるかのような臨場感で術中の指導が行えることを確認することができ、同システムが、商用回線を利用した病院間での遠隔医療指導において、有効に機能することが確認できたという。

EIZOの4Kタッチモニタを含む医療ソリューションと、PFUの超低遅延・4K映像伝送技術を組合せ、血管造影画像や治療に必要な複数の医用画像を伝送し、遠隔地から指導医が音声と映像を伝送することで、リアルタイムな遠隔地からの手技指導を可能にする。今回実験に用いた「遠隔医療指導システム」について、今後は、実運用に向けた医療現場での運用評価を進め、普及による「地域遠隔医療の発展」、「指導下での施術機会増加による、専門医の手技技術・安定性・治療効果向上とこれらの効果による治療時間短縮」、「指導医の負荷軽減、施術スケジュール調整の容易化」といった効果を享受できる社会を目指していくとのことだ。