設計者のひらめきを3Dモデルに

コンピュータを使って物体を表現し設計する手法には、ソリッド、サーフェス、ワイヤーフレームという3種類がある。

ソリッドは粘土細工と同様、断面も詰まっている。サーフェースは面の集合体であり、ワイヤーフレームは針金で面の境界線をなぞったような模型になる。船のスクリューや飛行機のプロペラは、3次元CGにて表面のみを定義するサーフェスモデリングでも、特に高度な類いだといわれている。

データ量は設計対象の大きさに比例しない。「巨大タンカーなんて、一部をデザインして、あとはドンバンドンッと引き延ばせば済むんだ」
かつて、ある大企業の人はそう言って、航空機の翼のデータ量がいかに膨大であるかを筆者に力説してくれた。流体力学は曲面を多用する自動車にも及んでいて、フロントやテールの3次元データは相当な量になるだろうとも――。彼の話は、公共・産業用ポンプメーカーが大型コンピュータでCATIA(Computer graphics Aided Three dimensional Interactive Application)を稼働させていたこととつじつまが合った。

CATIAとは、戦闘機ミラージュを設計した仏ダッソー・アビアシオン社、そのアプリケーション開発部門を母体とするダッソー・システムズ社が30年以上開発を続け、世界140ヶ国超の多彩な産業および研究機関向けに販売している、ハイエンド3次元CAD(Computer-Aided Design)ソフトウェアだ。同社傘下には、3Dモデリング、3Dビジュアライゼーションなど、3次元開発ソフトウェアを幅広い業界に提供し、日本でも3Dイノベーションを加速しているSpatial Corp.(スペイシャル社)がある。

きょう、スペイシャル社の3Dモデリングカーネル「CGM™ Core Modeler」を搭載した"日本初"となる3次元CADソフト「図脳CAD3D」の発売を、株式会社フォトロン(東京都千代田区)が発表した。
CATIAの3Dモデリングカーネル搭載により、CATIA V5/V6のデータをそのまま取り扱うことが可能になる。ネイティブデータの直接入力は、従来あったデータ変換の煩わしさを解消し、変換に要していたコストを削減する。読込みにおける不正確なモデル形状をヒーリングする作業負担も軽減するという。

フォトロン社は20年以上の、国産CAD「図脳RAPID3D」シリーズで培ったダイレクトモデリングCADの開発ノウハウを活かして、直感的で容易な操作性を実現した。設計履歴などの拘束条件を意識しない自由なモデリングが設計者のひらめきを3Dモデルに直結する、「図脳CAD3D」は、今週"東京ビッグサイト"で開催の「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS)」、および来週"ポートメッセなごや"で開催の「人とくるまのテクノロジー展2017 名古屋」にてお披露目される。