カスタムSoCの設計を新たな舗装路へ

あらゆるモノがネットにつながる「IoT」時代、さまざまなデバイスをただつなげるだけでなく、同時にそれらを聡明にする。 エッジコンピューティングも本格化する。

2017年6月20日

たとえばコネクティッドカー(つながる車)の世界では、クラウド(雲)の中に人工知能(AI)など、大量のデータ(ビッグデータ)を分析・処理したり、格納したりする仕組み(システム)があり、地上(エッジ)に知的かつスマートな車がある。
携帯電話はすでにスマートだし、家や街をスマートにする取り組みが進んでいる。いま生産現場などで広がっているセンサ情報を集約し活かすIoTシステムもいずれ、適用範囲の拡大とともにエッジデバイスにプロセッサチップ(CPU)を内蔵させるようになり、工作機械等をよりスマートにしてつなげていくことになるだろう。

未来には1兆個のコネクティッドデバイスが待ち受けている。
そして現在200億個以上のプロセッサ・コアを出荷しているという。英ARM社は、同社のコミュニティブログで設計者向けプログラム「DesignStart」の拡張を発表。ブログを書いたのは、同社副社長兼CPUグループジェネラルマネージャのNandan Nayampally氏である。

カスタムSoC(システム・オン・チップ)の設計・開発者向けに、迅速くかつ容易にARM IP――業界をリードする知的財産権にアクセスできるようにした「ARM DesignStart」プログラムは、2010年以前に誕生していて、2年前には同社最小のプロセッサで超高効率のSoC開発に弾みを付ける、拡張Cortex-M0 の利用開始をアナウンスした。結果、数百以上の組込型システム設計者、新興企業、OEMベンダらから好評を博し、ARMのエコシステムを形成。多様なIoTおよびコネクティッドデバイスに知性を埋め込むSoCの設計を可能にしている。これら利用者からの声を反映して今回、開発者が自信を持って"1兆個の未来"へ向かって走れるよう、そして革新者が最少リスクで素早くアイデアを市場化するための、舗装路の拡張に至ったという。

内容は、1)同プログラムのARM Cortex-M3へのプロセッサ拡大、2)Cortex-M0およびCortex-M3の設計初期ライセンス費用ゼロ円、3)実装済みプロセッサの評価および商用化にて、最速かつ最もシンプルな手法を提供、4)ARM mbed OSサポート検証および完全なる知財サブシステムで、Cortex-M3ベースのSoC設計を加速――とのことだ。