2017年は前年度比17.5%増、ITRが標的型攻撃対策支援サービスの市場規模を予測

特定の組織や人を攻撃対象とする標的型サイバー攻撃の被害が拡大している。そうした攻撃への対策支援製品・サービスの需要も年々高まっている。今後、対策支援サービスの市場はどうなるのか。株式会社アイ・ティ・アールが市場規模推移と2017年度の売り上げ予測を発表した。

ITコンサルティング/調査会社である株式会社アイ・ティ・アール(以下、ITR)が、国内の標的型攻撃対策支援サービスの市場規模推移および予測を発表した。標的型攻撃対策支援サービス、サンドボックス運用監視サービス、DDoS攻撃対策支援サービスなど全10分野を対象に国内39社のベンダーに調査を実施。調査結果をまとめたレポート「ITR Market View:外部攻撃対策型SOCサービス市場2017」には、2015~2016年度売り上げ実績、2021年度までの売り上げ予測を掲載している。

標的型攻撃とは、重要情報の入手を最終目標として時間や手段、手法を問わず、特定の組織や人を攻撃対象として、その標的に特化して継続的に行われる一連のサイバー攻撃を指す。

同社の調査によると、標的型攻撃対策支援サービスの国内市場における2016年度の売上金額は95億円で、前年度比19.9%増となっている。巧妙化しながら増加し続けている標的型攻撃に対して、早期に攻撃を発見することや感染対象の特定などの対策が一段と重要になっていると説明する。そのため、標的型攻撃対策製品で脅威の検知や通信状況の分析を行い、インシデント発生時には顧客に対して迅速に最適な対策支援を行うセキュリティサービスのニーズが拡大し続けているという。こうした背景から、ITRでは2017年度の同市場は前年度比17.5%増となり、引き続き好調な伸びが見込まれると予測する。

また、2016年度のサンドボックス運用監視サービス市場は前年度比14.3%増、2017年度も同16.9%増と高い伸びを維持。同年度のDDoS攻撃対策支援サービスは、前年度比10.1%増となり、2017年度は同12.5%増と伸び率が上昇するという予測を発表した。

ITRのシニア・アナリストである大杉 豊氏は「昨今のインシデントの潮流は、メール対策を含めたインターネット・ゲートウェイだけの対策では不十分で、多層・多重の防御対策、および監視を実施することが重要です。2020年に向けて国内企業が攻撃の対象となる割合は、過去の海外事例などから急激に増加することが予測され、同市場の対象サービスの需要がより増していくだろう」とコメントしている。