AIが番組製作とCMを変える?

民放テレビ番組は視聴率でできている。視聴率こそすべてであり、局長やプロデューサーらもそれに首をかけている。出演者がそれに未来を左右される。

放送作家さえもその数字に一喜一憂し、ときどき流行りものに筆を染めているように見受けられる。

番組製作および編集において、あしたの視聴率がわかれば、きょう手の施しようがある。
制作費を負担するスポンサー企業だって、視聴率を予測できれば、より機動的な投資ができるだろう。テレビメディアに関係するさまざまなマーケティングデータの取得が近年可能になってきている。だが、ターゲット別(性年代別など)の視聴率予測とその自動化の達成はこれまで困難であったという。株式会社電通は、人工知能(AI)技術のディープラーニング(深層学習)を用いることで、高精度にテレビ視聴率を予測できるシステム「SHAREST(β版)」(シェアレスト・ベータ版)を開発した。

一昨年10月より、データアーティスト(株)と共同で、過去の視聴率データ、番組ジャンル、出演者情報、ネット上のコンテンツ閲覧傾向などを教師データとしたディープラーニングによるモデル構築を行い、放送前のテレビ視聴率を予測するシステムの研究開発を行ってきた。そして、高速データ解析プラットフォーム内で予測視聴率を算出するプログラムの構築に至ったという。同システムにより、視聴率の安定的な予測ができる。従来人が行ってきた、各ターゲットで異なる商材の広告を最適なCMポジションに割り付けることなどが自動で可能になり、業務の効率化でも大いに効果があるだろうとする。

電通社内で予測視聴率を用いた実施検証を行い、のちにはテレビCMの素材割り付けの高度運用と広告効果を高める実証を行っていく。SHAREST(β版)を活用し、まずは関東で高精度な視聴率予測の検証プロジェクトを実施する。そして順次、関西や中部にも活用地区を拡大していく予定とのことだ。