被災地救援活動をより迅速かつ効率的に

災害発生現場に一刻を争い、医療チームと消防隊が急行する。地上の混乱とインフラの断絶を避けて、ヘリコプターで一直線に現場へ向かう。 機体の位置情報の確認は気象情報とともにできる。だが、ある課題が残されていた。

ドクターヘリと消防防災ヘリなど、主目的を同じくし運用のみを異にする機関、および関係チーム同士で情報共有ができていない。
それをするにも、災害が発生するたびに関係組織の間で承認手続きが必要であったという。株式会社ウェザーニューズはきょう、独立行政法人国立病院機構災害医療センター、朝日航洋株式会社を代表幹事とする国内のドクターヘリ運航会社12社、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)とともに、「災害時ドクターヘリ消防防災ヘリ位置情報共有協定」を締結したと発表した。

ウェザーニューズは、それまで課題となっていたヘリコプターの位置情報の把握と、これによる安全で効率的な運航管理を、2012年日本初の機内持ち込み型動態管理システム「FOSTER-CoPilot(フォスターコーパイ)」を開発して実現――。位置情報を「FOSTER-GA(フォスタージーエー)」上で気象情報と重ね合わせて確認できる同システムは、機体の修理改造が不要でコストも低く、全国の9割のドクターヘリに導入されているという。

昨年4月熊本地震の際、臨時で、「FOSTER-CoPilot」を搭載したドクターヘリの位置情報と、JAXAが開発した動態管理システム「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」を搭載した消防防災ヘリのそれとを「FOSTER-GA」で一元的に表示し、災害対策本部や災害派遣医療チーム(DMAT)が共有する環境を構築して、安全で効率的な災害救援活動を支援した。この実績を踏まえ、4者間の連携を強めることを目的に締結したという。今回の協定は、素早いチームワークを恒久的にするものだとも考えられる。

4者間(災害医療センター、ドクターヘリ運航会社、JAXA、ウェザーニューズ)での承認が不要になるため、災害発生直後の初動などにおいて、より迅速な連携が可能とのことだ。