さまざまな産業用通信をワンチップで

第4次産業革命の旗を各国が振っている。ドイツののIndustrie 4.0、英国のIndustry 4.0、米国のIndustrial Internet、日本のインダストリー4.0――と表記は違っても、中身はあらゆモノをネットにつなげるIoT(Internet of Things)で共通している。ために主導権を争っていた、米独は協調路線に向かい日本も昨年その路線に乗った。総務省と経済産業省の肝煎りで、「IoT推進コンソーシアム」がその技術開発と活用を先導する。

単に「つなげる」といっても実相は様々だ。モノによって通信手順(プロトコル)が異なり、イーサネットにさえ対応していればすべてをつなげられるとは限らない。産業用製品において、標準規格のEtherCAT、Profinet、Ethernet/IP、PROFIBUSのマスタ/スレーブ、HSR、PRP、POWERLINK、 SERCOS III、CANopenなど、通信プロトコルを追加サポートするために、いまあるハードウェアを設計変更する。また、サポートする通信規格数に応じて回路が増え、製品の形状に影響を及ぼすこともあるだろう。コストを増大させることも避けなければならない。

IoT製品、産業用製品の設計・開発者向けに、日本テキサス・インスツルメンツは、ハードウェア変更が最小限もしくは不要で、より多くの通信標準規格をサポートする製品設計への道筋を、1個のプログラマブル・ソリューションで提供する。
業界で高い実績を持ち、柔軟なペリフェラル群、産業用温度範囲での動作や、統一されたソフトウェア・サポートなどの特長を備えるSitara™ プロセッサ・プラットフォームをベースに構築した「AMIC110」SoC製品がそれだ。

同製品は、マルチプロトコル対応の産業用通信プロセッサであり、独自のPRU-ICSS(Programmable-Realtime Unit Industrial Communications Subsystem:プログラマブル・リアルタイム・ユニットと産業用通信サブシステム)を搭載し、上記とその他10種類以上のイーサネットとフィールドバス――通信標準規格をサポート。その高いプログラマビリティをファクトリ・オートメーションや制御アプリケーションに活かし、既存のネットワーク未対応製品の設計に産業用イーサネット機能を追加する際などにも役立つという。

ネット接続対応では、ドライブ製品アプリケーション向けに、「C2000™」をはじめとしたマイコン製品のコンパニオン通信デバイスとして使用できる。「AMIC110」 SoC 製品は、TI storeや販売特約店から供給中。1,000個受注時の単価(参考価格)は6.75ドルとのことだ。