航空機の生産現場をスマートファクトリー化

かつて製造工程の自動化がもて囃された。それ以上にいま、生産現場のあらゆるモノをネットにつなげるIoTは注目を浴び、期待されているのではないだろうか。その仕組みは人工知能(AI)とともに、第4次産業革命の道具――デジタルツールのひとつに数えられている。

インダストリー4.0、インダストリアルインターネットの文脈にあるスマートマニュファクチャリングは、情報通信技術(ICT)と生産現場および工程とのいっそうの融合である。従来独立していたFA装置や、デジタル化されていなかった機材等、環境と人の動きをも網羅してリアルタイムにつながった仕組みを実現する。自らがメーカーであり、ICT製品およびサービスベンダーの富士通株式会社にとって、凄腕と知見、ノウハウの見せどころだろう。
きょう同社は、川崎重工業株式会社 航空宇宙カンパニーの、航空機の生産現場におけるIoTを活用したスマートファクトリー化の実現に向け、航空機機体生産の進捗管理を支援する生産情報活用基盤システムの試行開発に参画することを公表した。

民間から防衛まで航空機全般を開発する大手航空機メーカーである川崎重工は、熟練従業員による手作業を残した複雑な製造工程のデジタル化を指向しているという。そして川崎重工グループの情報システム子会社であるベニックソリューション株式会社と技術の研究開発を支援する川重テクノロジー株式会社と連携し、開発・導入を富士通がサポートする。
今回の生産情報活用基盤システムは、「データ収集」「データベース」「データ表示」といった3つのサブシステムで構成される。航空機機体製造におけるリアルタイムな進捗管理の実現を目標にし、無線通信ICタグ(RFID)を活用して生産対象品の移動情報をイベントデータとして収集し、ダッシュボードやBIツールにより目的に応じて進捗状況を表示可能な情報基盤だという。

川崎重工では、2017年内に、航空機部品を生産する岐阜工場の一部を対象に同システムを展開。その後、航空宇宙カンパニーの国内工場、海外工場、協力会社へと順次展開を図り、スマートファクトリー化の実現を目指す。そして富士通は、同システムの開発・導入の一翼を担い、お客のデジタル革新を実現するデジタルビジネス・プラットフォーム「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc」に応用し、製造領域でのIoTビジネスを推進していくとのことだ。