農家と資材販売をマッチング

営農は自然が相手だ。これまでの農業は風、虫、菌、草、雨水、太陽、そして土との闘いであり、共存の営みであった。そこには道具があり、屋舎や資材があった。生産品を市場へ運び、資材を仕入れるルートは確立されていて、営農者はそれらに気を遣う必要はなかった。だが今、まるで工場長のように、生産性を向上せよとうえから言われる。自発的にそれを目指す人たちもいる。

生産性の向上はダイエットや貯蓄と同じである。さまざまな革新技術を活用しつつ、インプットとアウトプットを測り制御することによって、目標は達成できる。事業におけるインプットは人、モノ、カネの三大資源だ。しかし農業の場合、小売サービス業のように、日々ここに自然現象という不確定要素が加わる。かつ小売店や製造会社が持っている最新資材やその仕入れコストを抑制するための情報も、仕組みも、人脈も、営農者にはなかったりする。他方、営農者への伝手を探している資材販売会社がある。

両者を結びつける試みが始まる。
ソフトバンク・テクノロジー株式会社は、農業資材の比較が簡単に行えるマッチングサービス「AGMIRU(アグミル)」を、この初夏から開始する。
農林水産省まるみえアグリ」プロジェクトの一環として誕生したという。AGMIRUは、農業者と資材の販売者が双方向でコミュニケーションを図り、取り引きのマッチングを支援するサービスであり、開始当初の対象商材は、農薬、肥料、農業用機械、種苗、飼料の5品目を予定している。

このサービスにより、農業者は、これまで付き合いがなかった販売者からも提案を受けることが可能になり、選択の幅が大きく広がる。販売者も、これまで接点がなかった農業者と容易にコンタクトできるようになり、提案の幅を広げることができるという。AGMIRUで、農業者が購入したい資材の希望条件を登録すると、販売者にメールで通知が届く。通知を受けた複数の販売者が、アフターケアや保証内容を含む提案を行うことで、農業者と販売者の最適なマッチングを実現するとのこと。アカウント登録はもう始まっている