LPガスボンベをネットにつなげる

多くのLPガス販売事業者は、顧客宅を毎月訪問して行う検針のデータからLPガス容器内のガス残量を予測し、LPガス容器を配送している。 一方、顧客のガス使用は気温や生活パターンによって変化する。月に一度の訪問検針では、ガス残量の正確な把握が困難である。

残量不足を防止する観点から、従来LPガス容器内に十分な量のガスが残っている状態でもLPガス容器を交換することがあったという。アズビル株式会社、アズビル金門株式会社、東京ガス株式会社および東京ガスリキッドホールディングス株式会社の4社はきょう、LPガス配送合理化を目的として、LPWAネットワークを活用したIoTにより多頻度の遠隔検針を行う実証事業を、今年9月より共同で開始することを発表した。

低消費電力で長距離通信を実現するIoT向けLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク規格の一つ、「LoRaWAN」を活用し、顧客のガス使用量を多頻度かつ遠隔で検針することにより、ガス残量を正確に把握し、LPガス容器の最適な配送方法を構築するシステムの開発を進める。
4社は、アズビル金門が開発した既存ガスメーターに接続可能なLoRaWAN対応通信装置、もしくは今年5月にリリースしたLoRaWAN対応通信装置を内蔵可能なガスメーター「K-SMα」を使用。それを特定地域の顧客宅に集中設置してネットワークを構築し、通信性能を検証するとともに、実用化に向けた課題点を洗い出す。

液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」に基づき、一般消費者等の保安を確保する手法として経済産業省が推奨する、「集中監視システム」等の導入に相当する――。双方向通信が可能なLoRaWAN対応通信装置を活用したシステムは、緊急時に顧客宅のガスを遠隔で遮断可能となる。

この実証事業では、ガス残量や配送に関わる情報などと合わせたビッグデータ解析により、LPガス容器の配送方法(配送日時、配送本数および配送ルート)を最適化するシステムの経済性効果を評価。これらにより、遠隔検針を多頻度で行い、LPガス容器内のガス残量が下限となった時点で容器を交換することが可能となり、配送合理化を実現するとのことだ。