平成29年2月、経済産業省は「IoTファースト」(商務情報政策局資料)といっている。
デジタルファーストからIoTファーストへ、それが可能になったいま幅広いソリューションの実装を進めていくべきとのことだが、この言葉を借りると、多くの生産現場はすでにIoTファーストである。これまで産業用ロボットやコンピュータ数値制御(CNC)を使ったり、CAD/CAMで設計・製造したり、スーパーコンピュータでシミュレーションをしたり、製品の物流や販売管理、アフターサービスのデータと生産システムのデータを連携させているケースもあって、デジタル化はかなり進んでいる。すべてのモノと工程にデジタル化が及び、それらが生み出すデータおよび情報にまで、連携が進んでいなかっただけである。
たとえば、組立工程においては、計画段階で作成した、各工程の部品や作業手順や作業場所を示したBOP(Bill of process)情報が現場で更新した最新の現場工程情報と一致する必要があるものの、従来それは、作業負荷が膨大なため、行われていなかったという。
富士通は、同社グループ会社のデジタルプロセス(株)が開発した、製品の組立工程検討を3次元モデルで支援するデジタル生産準備ツール「FUJITSU Manufacturing Industry Solution VPS」(VPS:Virtual Product and Process Simulator)において、新VPSを明日、販売開始する。
組立製造業向けに、組立工程検討を行うだけでなく、設計変更や現場カイゼンにより、常に変化する組立工程情報をタイムリーに更新することで、生産現場の工程と一体化できるという。新VPSは、「現場工程と一体化する組立工程情報の最新化」のほかに、データ管理を容易にする「多種多様な製品仕様や複雑な作業工程を表現」、BOM(Bill of materials)ーCAD割当機能の追加により「VPSとBOMシステムを連携させ、組立工程情報を作り込み可能」といった特長も備えている。
そして、VPSで作成した組立手順の動画や工程フロー情報などの組立工程情報を生産現場で閲覧するための製造指示Viewerを提供。カスタマイズにより、工具やピッキングシステムからセンシングした作業実績情報をMES(Manufacturing Execution System)に自動連携することが可能なこのViewerにより、「生産現場のIoT化を促進」できるとのことだ。