IoTにてトマトの生産性アップ

ふつうトマトの収穫においては、圃場の一部から試験的に収穫した結果をもとに、栽培責任者が全体の収穫量を予測し、収穫量予測に応じた農作業計画を立てている。この作業計画に基づき、広大なビニールハウス内に生育するトマトを複数の農作業者が収穫する。

こうした中、農業界全体で減少傾向にある栽培責任者の収穫量予測業務の効率化やスキルの平準化、農作業者の作業効率の可視化および生産性の向上が課題になっているという。

株式会社サラダボウルは、先駆的な農業生産法人として、「農業の新しいカタチを創る」というスローガンのもと、農産物の生産・販売、農業生産コンサルティングなどを行っていて、同社の関連会社であるアグリビジョンは、山梨県北杜市に国内最大級の園芸施設を保有し、トマトの生産・販売を行っている。そして両社はきょう、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)とともに、農業法人の生産性向上を目的とした実証実験の開始を発表した。

今月から来年年3月まで、北杜市で実施する。 共同実験では、Wi-Fiと人工知能(AI)による映像データ解析・ビーコン等の技術を活用し、トマトの収穫量予測と農作業者の生産活動の可視化を実証していくとのこと。

具体的には、ネットワークカメラで撮影したトマトの映像データを、Wi-Fi経由でクラウドにアップロードし、AIを用いた画像解析技術によって収穫可能なトマトを識別する――人的ノウハウに頼らない仕組みで、ハウス内における当該品種の収穫量を予測。栽培責任者の稼動削減と、農作業者の配置の最適化、取引先へのより正確な出荷数の通知を実現する。

また、GPSが利用できないハウス内に設置される電波ビーコンが発する電波を、農作業者が身につけるビーコンゲートウェイで受信し、その電波強度情報をWi-Fi経由でクラウドにアップロード。このデータを、AIを用いた位置情報解析技術によって分析することで、農作業者の生産活動を高精度で可視化する。

ビジネスモデルを出願中の上記実証実験を通じ、今後3社は、農業分野における簡単に利用可能なレディメイド型のIoTサービスの商品化を目指していく。また、サービスの実証により、農業法人・担い手農家支援、農業の6次産業化に貢献していくとした。内容は、今月24~26日開催のワイヤレスIoT EXPOにて確かめられる。