近ごろ医療技術の進歩はめざましい。医療と情報技術(IT)の融合であるメディテックも盛んに研究開発され、AR/VR(拡張現実/仮想現実)による診療システムなどの実用化が進んでいる。大病院や有力大学の医学部・看護部に居ればそれらに臨み、さまざまな診察・治療技術に触れることができるだろう。けれど島しょ部や遠隔地で懸命に医療を支えている医師たち、看護師たちはどうだろうか。医師や看護師を目指す学生たちだって、地方ではその機会が十分ではないと考えられる。
2017年5月22日
近年、国内の医療業界においては、地域による医療従事者の臨床技術格差が広がっていて、場所を選ぶことなく均一な医療学習や臨床技術トレーニングを行える環境の整備が求められている。国際標準化の流れにともない、医療機関のJCI(Joint Commission International)認証取得や、医療教育機関の2023年問題(ECFMG® 認定要求)対策などから、臨床技術トレーニングの重要性に注目が集まっているという。
株式会社日立産業制御ソリューションズはきょう、医療研修環境がない遠隔地でも、研修の受講が可能な環境を構築する医療研修基盤提供ソリューションの提供を開始した。
同社のソリューションは、医療研修センター内に設置した複数台のカメラ、生体情報モニタ、プロジェクター、電子黒板などの機器を統合管理。「Microsoft Azure」上に築いたSaaS型医療研修基盤クラウドの各種機能――ユーザー用意の研修教材、受講管理、実習映像、ライブ配信、ビデオ会議などとの連携によって、遠隔地に居ながら、研修センターで実施される研修へのアクティブラーニング形式の医療研修受講が可能となる。
医療機関や医療教育機関、医療機器メーカーを対象に\'18年度3億円の販売をめざし、「医療の質と安全の向上」に貢献するという。日立産業制御では、今後、このソリューションを医療以外の分野にも適用していく予定とのことだ。