そのうえ日本では、「第5期科学技術基本計画」において、「超スマート社会」を実現する技術のひとつにAIが挙げられているのだ。サイバー空間とフィジカル空間(現実社会)を⾼度に融合させる鍵になるであろうAIは、IoT(Internet of Things」とともに第4次産業革命の原動力になる、と力説するまでもなく、ライフサイエンス分野を含む各種製品の設計・シミュレーションに用いられて、工数およびコストの削減、開発期間の短縮といった効果を現出している。
AIはデジタル技術である。そのため、これまでのコンピュータが辿ってきた道と同様、適用範囲・分野の拡大およびユーザー数の増加にあわせて、性能向上が求められる。AIの高速化はいま、GPU(Graphics Processing Unit)の独壇場だ。
CTスキャン画像から立体臓器モデル映像を作ったり、分子レベルのシミュレーションによる医薬品の効果測定をしたり、銀河系の星々の動きをシミュレーションしたり、身近のところでは3D映画やゲームに使われていたりする、GPUはその並列的特性を活かして、最新AIの肝であるディープラーニングを始めとした機械学習に用いられている。
そしてそんなGPUの世界的リーディングベンダー、NVIDIAが米国シリコンバレーで今月10日(現地時間)、世界一チャレンジングなAI研究を前進させる、比類ないコンピューティングパフォーマンスのNVIDIA®DGX AI Supercomputerにおいて、新ラインナップを発表した。
すべての産業にAIをもたらすNVIDIA Volta™アーキテクチャをベースにしたNVIDIA Tesla® V100 データセンタ GPUと、完全に最適化されたAIソフトウェアパッケージからなる、新しいシステムは、従来世代のGDXよりも3倍速いAI処理力を達成。単一システムで800個のCPUに相当するパフォーマンスを提供するという。
NVIDIA VoltaアーキテクチャベースのDGXポートフォリオには、データセンタ向けのNVIDIA DGX-1™ AI スーパーコンピュータと、新型の個人用スーパコンピューティングワークステーションNVIDIA DGX Station™が含まれていて、どちらのシステムでも、新たに発表されたNVIDIA GPU Cloud
を介して実行されるディープラーニングスタックとの統合メリットを享受できるとのことだ。