そして高速道路に入り、まだタイヤの汚れを気にしていた。
走る、曲がる、止まる――車の基本性能を左右する重要パーツのひとつにタイヤがある。タイヤには、命を預けていると言っても過言ではないだろう。荷物だって預けている。タイヤがパンクすれば、車は巨大な、ただのガラクタに化す。これは筆者の実感だ。知らぬ間に金属片か何かを踏み抜いていて、車庫でうずくまっている彼女の姿を見たときの。
何のために存在しているのか? と問いかけ、グローバルな企業として快適で魅力ある新しい生活価値を創造し続けている住友ゴム工業株式会社は、タイヤの回転により発生する車輪速信号を解析することでタイヤの空気圧低下を検知し、ドライバーに知らせるタイヤ空気圧低下警報装置「DWS(Deflation Warning System)」を実用化し、世界各国の多くの車両に純正採用されてきたという。そしてきょう、このDWSで培った技術をベースに、路面の滑りやすさやタイヤにかかる荷重などの情報を検知するタイヤセンシング技術「SENSING CORE」を開発したことを発表した。
追加のセンサーを必要とせず、既存の車輪速信号を使ってソフトウェアで検知するため、メンテナンスフリーで低コスト化を図ることが出来る技術。
「SENSING CORE」は、車輪速信号を解析・統計処理することによって、タイヤの空気圧低下のみならず、路面の滑りやすさや4輪それぞれのタイヤにかかる荷重などをリアルタイムに推定できるため、ドライバーへの警告として利用したり、制動力配分の最適化や、レーンキープもしくはレーンチェンジの際の車両姿勢を安定化したりといったことが考えられる。
いま世界中の自動車メーカーやITベンダなどがしのぎを削っていて、日本政府も「Society5.0」の旗を振り、来る「自動運転時代」において――
タイヤの摩耗や損傷などを推定することや、得られた情報をビッグデータとして収集、分析し、他の車両へ配信することが期待できるという。