既成概念を打破してテレワーク

TOKYO2020、ここを目標にさまざまコトやモノが動いている。 今年から五輪開会式の予定日、7月24日を「テレワーク・デイ」(総務省報道資料)にしたのもその一つ。これは、凄まじい痛勤を強いられている東京都が打ち出している「快適通勤ムーブメント」とも連携するという。

2017年5月8日

2012年ロンドン大会において、交通混雑による移動困難を予測し、市内約8割の企業がテレワークを導入した、「成功事例」を範にしている。レガシーつくりの一環だ。

総務省の別資料、「テレワーク推進に向けた政府の取組について」(平成28年6月)には企業等でテレワークが導入されている割合が示されていて、米国85%、英国38.2%、フランス14%、ドイツ21.9%、日本11%――これを「TOKYO2020」までに2012年比で3倍にとの目標が掲げられている。惜しむらくはソースの調査年度が米欧日でばらばら、しかも英国の数字は2010年のものなので、ロンドン五輪の影響が反映されていない。ことはともかく、日本でテレワークの導入が進んでいないのは事実だ。
さまざまな物事に当てはめられる「ゴールデンルール」(80対20の法則)の20%にも達していないのだから、テレワーク・ムーブメントは、定着も安定もしておらず、前途多難と言えそうだ。少子高齢化社会での介護や育児に、健康そしてワークライフバランスの維持に、大いに役立つ働き方だのに。

ITシステムとは違い人間社会における「ゴールデンルール」は、思い込みだったり、既成概念だったりする。組織のやり方とかビジネス慣習ならば、8割の人が、「今のままで問題ない」「難しい」「怖い」などといって、変わること、変えることを拒む。けれどそこに明確かつ論理的根拠がない。あってもテクノロジーやツールの進化によってルールは変わるし、変えられる。新しいツールや仕組みの下、新たに80対20で構成されるのが自然な形だろう。

上記「テレワーク・デイ」の協力企業、コクヨ株式会社とSCSK株式会社は協業し、コクヨが提供する企業間取引支援クラウドサービス「「@Tovas(アットトバス)」と、SCSKが提供するWebアプリ作成・運用のクラウドサービス「CELF(セルフ)」を連携させ、企業向けに「事務作業効率化ソリューション」を今年6月から提供開始する。

同ソリューションでは、出勤および固定席を必要とする業務――見積書・注文書・請求書発行などの企業間取引業務において、専門部門での集中処理化やアウトソーシング、社内共通の業務システム化が難しいといった課題を解決する。Excel感覚でそれぞれの業務フローに合わせた注文書発行業務や請求書発行業務をWebアプリとして作成でき、帳票業務をペーパーレス化し、データの一元管理が可能になる。
そして専門部署の社員は、自宅のパソコンからでも画面操作によりFAXや郵送が可能で、育児や介護をしながらでも事務作業ができるようになる。もちろん満員電車を避けて英気を温存するカフェからでも――。