世界最速レベルの画像処理にリアルタイム性と信頼性、加わる

いま高速画像処理技術は高いポテンシャルを秘めていて、そのプラットフォームは、ファクトリーオートメーション(FA)の高速検査やロボット、道路上で人の代わりとなり安全安心を実現する自動運転システム、メディカル/ライフサイエンス分野では最先端医療機器など、さまざまな利用シーンが考えられ、それらへの展開に期待が高まっている。

(BP-Affairs編集部)

世界最速レベルを実現した画像処理技術にリアルタイム性と信頼性が付加されれば尚更だろう。
きょう、株式会社エクスビジョンおよびイーソル株式会社は、エクスビジョンが開発した高速画像処理プラットフォームのソフトウェア開発キット「HSV SDK」(High Speed Vision Software Development Kit)に、イーソルのマルチコアプロセッサ対応リアルタイムOS「eT-Kernel Multi-Core Edition」をコアとするソフトウェアプラットフォームを採用したことを発表した。

上記高速画像処理プラットフォームは、国際会議ISSCC 2017で発表された「ビジョンチップ(Vision Chip)」を中核に構成されている。
現在平均的な30fpsの30倍以上のフレームレートとなる1,000fpsのイメージセンシングに加え、高速移動体の検出を行う並列信号処理をワンチップで実現したこれまでにないハードウェア――。工場の流れを止めずに不良品を検出する高速検査や産業用ロボット、自動運転システム、最先端医療機器などの様々なアプリケーションへの展開と、機器の小型化および省電力化への貢献が期待されている――ビジョンチップ搭載のセンサーボード、およびメインボードからなる評価ボードと、ソフトウェア開発キットで構成されたものが、「HSV SDK」であり、様々な画像処理システムの短期間での開発を容易にする標準プラットフォームとして提供される。

HSV SDKは、そのランタイムソフトウェアとしてイーソルのeT-Kernel Multi-Core EditionとUSBデバイス側スタックを採用することにより、センサーボードから送られてきたイメージング情報のリアルタイム処理およびアクチュエータの高速制御を可能にする高いリアルタイム性と、SMPのメリットである高いスループットを両立している。eT-Kernel Multi-Core Editionは、メインボード上のARM®ベースのマルチコアプロセッサを制御。独自の「ブレンドスケジューリング」技術により、ひとつのシステム/OS上でSMP型/AMP型プログラムが混在することを可能にする。そして、車載機器やFA・産業機器、コンシューマ機器など、様々な分野での多彩な採用実績により、その高いリアルタイム性と信頼性が実証されているとのことだ。

イーソルは1975年創業。リアルタイムOS技術を核とするソフトウェアプラットフォームとプロフェッショナルサービスにより、車載システム、FA、人工衛星といった厳しい品質基準が求められるものを含むあらゆる分野で世界中に、最先端の製品を提供している。主要メーカーや大学機関との共同研究、マルチ・メニーコア技術の標準化活動なども積極的に進めている。
一方、エクスビジョンは、東京大学大学院 情報理工学系研究科「石川・渡辺研究室」で研究開発される先進的な高速画像処理技術とその応用となるソリューションを開発、またはビジョンチップを搭載したジェスチャー認識システムの実装など、様々な産業での事業展開に貢献する目的で設立された東京大学発のベンチャー企業である。

両社の今回の成果は、「第20回 組込みシステム開発技術展(ESEC)」(会期:2017年5月10日(水)~12日(金)、会場:東京ビッグサイト(東京・有明))のイーソルブース(ブース番号:西10-1)にて確認できる。