宿泊施設の収益管理はAIツールで

インターネットネットが加速するシェアリングエコノミーがある。オーナー不在中の別荘などを借りる「バケーションレンタル」もその一つだ。

海外の話でも新しい話でもなく、軽井沢あたりの貸別荘なども、バケーションレンタル施設なのだ。
そして、「インバウンド」の増大を背景に民泊が注目され、ホテル、旅館も巻き込んで国内の宿泊施設ビジネスは、大競争時代に突入する。一方、宿泊施設の経営では、モバイルアプリや予約サイトの活用だったり、財務会計ソフトウェアの利用だったり、いまはまだIT(情報技術)を駆使する業務が限られている。

世界中で急増するバケーションレンタル関連事業者はみな、共通の課題を抱えている。
国内でもシェアリングエコノミーの急拡大によって、求められるサービスが多岐にわたり、テクノロジーの力を最大限に活用した課題解決が急務であるとして、昨年、日本最大級の民泊情報サイト運営会社からスピンオフした、メトロエンジン株式会社はきょう、ホテル・旅館向けのレベニューマネジメント支援ツール「メトロエンジン」を発表した。

特許出願済である「メトロエンジン」は、人工知能(AI)とニューラルネットワークによる機械学習を活用した、全く新しい収益管理支援ツールだという。
宿泊客の「予約行動」に関わるビッグデータ(競合宿泊施設の客室単価、レビュー、部屋の写真、民泊の物件情報)を毎日収集し、リアルタイム・データに基づき、人工知能を用いた徹底的な分析および客室単価の算出を行う。更に、算出された客室単価が適正か否かを機械学習により繰り返し検証していくことで、収益の最大化を実現する手助けをするとのこと。

これにより、過去データに頼っていた従来の収益管理手法が大きく変わる。
たとえば、中国旧正月や桜の開花、イベント日程、気象条件など、毎年毎日変動する要因がある上、昨今の民泊の台頭など業界ダイナミクスも変化しているため、過去の実績に基づいて適正な客室単価を設定し、収益を最大化するのは困難であった。しかも、過去の客室単価が実際に適正だったかを検証する術がなかった――ところに、「メトロエンジン」を活用すれば、さまざまなビュー(クラフ等)とともにインサイトが得られ、収益の最大化に活かせる仕組みだ。

旅館、ホテル経営の強力なアドバイザーになるだろう「メトロエンジン」は、単なるアルゴリズムではなく、IBM社のテクノロジーである機械学習AI、深層学習(ディープラーニング)自然言語解析、画像認識AIをフル活用したツールであり、使用を重ねるごとに精度が向上するというから一層心強い。